子育て 仕事 両立 ワーママ アラフォー 映画 本 読書 感想 フリーランス 起業 正社員 40代 生き方 プライムビデオ 

子育てと正社員の両立にぎりぎりな40代の母(映画・読書・日々のこと)

子育てしながら正社員として仕事しています。40代の母のブログです。コピーライター、読書、映画、プライムビデオ。育児の悩みや仕事の悩み、広告、マーケティング、家族のこと、ふと思うことを綴ります。

正々堂々_走り出したくなる!

 

 

2020 西村宏堂

 

西村宏堂という存在、ステキです。

元気もらえます。

 

1989年生まれだから今34歳ですね。

 

LGBTQで僧侶でメイクアップアーティストな宏堂さんは、幼いころから自分を女の子だと語り、でもそれを言っちゃいけない悪いことのように思春期を過ごしました。

 

高校時代は自分のあいまいなアイデンティティを語ることも、心開ける友達もできず、きっとここでなら受け入れられるとアメリカに留学するも今度は「日本人だから」と殻にこもってしまった宏堂さん。

同じLGBTQでありながら自由に振る舞う友達から影響を受けたり、同じ日本人のミスユニバース森理世さんの本の言葉に触発されたりして、自分らしく生きる道をみずから探して進んでいきます。

 

LGBTQでなくても、自分らしさとは何ぞやと悩んだり、自分に自信がなかなか持てない青春を過ごしている若者、またそんな経験を持つ大人も、宏堂さんの悩みはとても共感できるんではないでしょうか。

 

ともかくそんな宏堂さんは、ゲイチャットを心の拠り所にしたり、同じような性認識を持ちながらも家族にも認められていて、電車でも堂々と恋人といちゃつくゲイの友達をみて、段々と、自分もそうありたいと変わっていきます。

 

で、アメリカでは、美大に入ったり、ミスユニバースのメイクアップを手がける日本人メイクアップアーティストのアシスタントを始めたり、はたまた帰国して僧侶になるための厳しい修行に身を投じて仏教を学んだり(宏堂さんはお寺の子でお父さんお母さんが僧侶)、いきいきと挑戦していきます。

 

人間って、変わるんですね。

 

宏堂さんがなんで変われたのか。どこにそのきっかけがあったのか?

私なりに読んでから考えてみたんですが、

 

まず自分の苦しみや不安から、真正面にぶつかっている。いらんプライドがないなと。好奇心に素直。失敗を恐れない。

 

あと、そもそも宏堂さんは変わったわけではないのではないかとも思うんです。

 

というのも宏堂さんは「人と自分が違う」ということを、望むにしろ望まないにしろ強く感じてきた人です。

他者と自分をしっかり線引きするのは人としての成熟への大きな一歩だと思います。

宏堂さんは、自分は男なのか女なのか、親も含め周りの認識と自分の感覚がなぜ違うのか、どうすり合わせていけばいいのか、幼いころから悩んできたわけで、そこだけ切り取ると「幼いころから大変そう」なんだけど、そういう悩みをもって考え続けてきたからこそ、「なにごとも自分しだいなんだ」という気持ちに早い段階でたどり着けたんではないかと思います。

 

「自分ってなんだろう」という人生の旅をずっと続けて、その中で視野が広がっていって、新しい世界を吸収していくことで救われたんだなと。

 

ただその悩みって何の意味があるの?人生のなかでそんなこと考えても無意味という人もいるかもしれないですが、すごい意味ありますよね。

 

だって、自分を知らずにいて、自分で自分を救う力が持てるのか、ってことです。

宏堂さんはその悩みを持ったうえで、日本を飛び出すことで、ところ変われば価値観も観念も変わることを知ったり、仏教を通して日本という国はなんなのか、人とはなんなのかを言葉として発する力をつけたり、自分を自分の力で救っています。

もうはや「ジェンダーとは、自分とは」を超えて「この世の在り方のナゾ」にまでせまっていっている感。すごい。

 

あとご本人がおっしゃっていることで、私も大切だなと思ったのが「知識をつけること」。

 

自信のないものを克服するために知識をつけようというのは、とても基本で当たり前のことだけど、案外見逃しがちでもあって。

私も最近まで気づいてなかったんですが、私のクセとして、不安になると本を読みだすというのがありまして、どうしたらいいか分からない状況の不安解消に「まだ知りえていない知識を吸い込んで、ひとつ賢い自分になっておけば安心」みたいな?

すごい保身で単純な動機なんですが。

まあ本を読めばそれで直接解決することはほとんどないのだけど、なんでなんだろう?っていうものを掘り下げて、それをちょっとずつ解明していく行為が不安を消していくといいますか。

物事の因果関係をつかんでおけば正しい行動ができるんじゃないかという期待というか。ぜんぜん考えたこともないような新しい知識を得るという麻薬のような喜びから抜けられないというか。

あと差別とか偏見とかって、他者への想像力も大事ですが、視野が狭いというか、「ちゃんと知らない」ゆえに陥りがちでもあると思うので、できる限り自分のふるまいに気を付けたいというのもあります。

これはもはや「思考のクセ」なんで、もしかしたら宏堂さんもそういうクセがあるタイプの人なんじゃないかな?となんとなく感じ勝手に親近感(*‘∀‘)

 

あと、中学のときから英語が好きだったり、宏堂さんが美術の予備校でデッサンの上手い人を見て、美大に行くの辞めたっていう挫折?(にもいたらない諦め)も、同じだったというのもあったりで、世代も現段階の仕上がりも全然違うんですけど、妙に共感できたというか。

 

でも宏堂さんは、結局アメリカにも行ったし美大にも入ったし、私がやりたくて成しえていないことを全部やっとるんです。

 

そういうところが素直に「すばらしいがな」とわくわくしました。

 

もう50手前の私が言うと、ええ歳こいて~になるのは承知のすけですが、

やりたいことをいつまでも追いかけていいじゃないか!

世界が広いことを私はまだ知らないじゃないか!

と「うおー」と叫びながら太陽に向かって走り出したくなるような、うずうずした気持ちになりました(●´ω`●)

 

そしてこの気持ちをぜひ若者と一緒に!と、美容系に進みたいという高3のわが子にこの本をプレゼントしたんですが、3日たってまだ読んではないらしいです。いつか、心が迷子になったときにでもそっと読んでみてくれたらと思います。