フリーライターとして稼いでいく方法、教えます
肥沼和之 2016 実務教育出版
フリーライターとして活躍する40歳(当時)の肥沼(こえぬま)さんのご自身の経験を通したフリーライター指南書です。
未経験の若者向けに書かれてますが、雇われおばさんライターである私もかなり勉強なりました!
プロのライターさんも一読の価値ありかと(´▽`)
日本全国民が総ライター化しうる昨今、「プロのライターってなんやねん」というのもひしひし感じる今日この頃ですが、なんかそのあたりの線引きというのを肥沼さんに見て取れる気もしました。
ということで肥沼さん流のフリーライター(プロ)としてのポイントを勝手にまとめてみたいと思います。
①取材をしているか。
おもしろいのが肥沼さんのライター事始めは、友達を取材して、その友達の人生をHPで紹介していくというところからなんです。
お金をかけず、お金ももらわず取材をして書いて、発信していくっていうのがめっちゃおもろいし、原点だなあと。
結局ライターってなんやねんって、取材にありというのは思います。
新聞記者なんかは「夜討ち朝駆け」とかブラックな働き方が基本なのかもですが、別にそんなんじゃなくても、やっぱり「その人の姿や声を生で聞く」「そこで体験する」ということが基本だなと。
肥沼さんが面白いのは、それがいわゆる世間の話題の対象だったり、流行り物だったり、そういうのじゃない点で、ネタは自分のまわりにもある、という視点からスタートしていることです。
で肥沼さんは、その自分の友達取材を原点に、仕事を増やしていきます。
②観察して分析してカタチにしていく基本ワーク
肥沼さんは上原隆さんが好きで、上原隆さんみたいになりたいとやってきているんですね。
私も有名なコピーライターでたくさん尊敬する人がいますが、彼彼女たちはそもそも大手の代理店出身だったりして、その後フリーランスしたり、起業されたりって人が多いというか、いわゆるずっとフリーライターとして活躍してきて、というのとはちょっとピンと来なかったんです。
そう考えると広告の世界って狭いというか、まず大手で働くことにアドバンテージがある世界だなと。
出版の世界でもそれはあるんでしょうけど、肥沼さんのように自分の力で仕事を掴んでいく、酒場で知り合っていく人脈作りでイマドキはバックの強さに関係なく自分ひとり稼ぐくらいはできるんだなと。
だから、ライターといっても雇われであることと、フリーランスであることにはまあまあな違いがあって、肥沼さんも書いていますが、その大きな違いは「書きたいことを選んで書ける」「縛られない」ということですね。
それを踏まえた上で、自分の力で稼ぐ力がフリーライターには必要なわけです。もちろん人脈作りとか、営業力とか、ネタの作り方、アンテナを上手く張るとかもあるんでしょうが、何よりも私はやっぱり、「物事や人を観察する力」?
観察して分析してカタチにしていくことがライターの基本ワークなんかなと。
肥沼さんがそう言っている訳ではないのですが、この本を「ライターって結局なんなのか」をずっと考えながら読んでいて、そこに帰結したといいますか。
観察して分析してカタチにしていく基本ワークは学者や研究者もそうなんですが、ライターは読み手ありき。
分かりやすい代弁者であるかどうか、です。
この「分かりやすさ」のせいで「カンタンそう」には見えるんですが、これって広告もよく思うのですが、表に出るのはほんとに膨大な情報の一部というか「見せる部分」であって、水面下ではものすごい労力と時間を費やした試行錯誤が行なわれています。それを理解していないと「簡単そう」って思ってしまうだろうし、観察や分析、表現するという作業が苦じゃないこと?
むしろ気づいたら何時間でもやっちゃってるよ、みたいなのがライターなんでしょうか。ね。
③モチーフから言いたいことにつなげる力があるか
情報配信というのは、「事実をそのまま伝える」という側面もあるとは思いますが、肥沼さんしかり、たとえ誰かへのインタビューなどであっても書き手が「言いたいこと」がそこには絶対に含まれていると私は思います。
ポリシーといってもいいかもしれないし、肥沼さんがご自身を「ジャーナリスト」だというように、自分の発信したものが、どういう意味をもつのか、誰に何をいいたいのか、明確なものがあります。
で、その自分のポリシーをしっかり自覚していて、それが多くの誤解を含まずに読み手に伝わっているのいればプロの仕事なんだと思います。
どんなメディアにもそのメディアなりのポリシーがあるわけで、書き手一人ひとりにもあって、たとえばAとBというメディアが同じ出来事を記事にしていても、角度や視点が違っていて、読み手の受け取り方が違ってくるするのはそういうことですよね。
その「ポリシー」がどれだけ多くの人に歓迎されるか、必要とされるか、それによってライターさんの仕事量や成功度も変わってくるでしょう。
けれど逆に言えば、「世の中にまだないもの」を提唱するポリシーを掲げるならば、たとえ現段階で読み手の母数が小さくても、今後の伸びしろは分からないし、一夜にしてバズるユーチューバーのようにはいかないけれど、「時間をかけて世に提唱していき、それが当たり前になる」ということはこれまでも幾多も社会に起こってきた現象です。
ただなんにしろ、
「誰に何をいいたいのか」
これは絶対に必要なんだと
この本を読んで改めて理解しました。
ほんとはライターって面白い仕事なんだな。
雇われライターの日常がしんどいので原点に返る作業、ほんと必要だな。。。(∩´∀`)∩