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子育てと正社員の両立にぎりぎりな40代の母(映画・読書・日々のこと)

子育てしながら正社員として仕事しています。40代の母のブログです。コピーライター、読書、映画、プライムビデオ。育児の悩みや仕事の悩み、広告、マーケティング、家族のこと、ふと思うことを綴ります。

ゴールデン・カムイ(アニメ)_おもろすぎてまたロス!

 

 

 

 

今ならプライムビデオで無料で「4期」まで見れます。

 

毎日楽しみに鑑賞続けて2018年の1期から2023年の4期まで見終わりました。

 

傑作です。

またロスですよ。

ただゴールデンカムイはなかなかにヘビーでビターな一面でもあるので、ひとまず終わったことに安堵もあります。まだ続くようですが。

 

ここがいいんだよ!ゴールデンカムイに入りたいと思います。

※少しネタばれあり

 

「ゴールデン・カムイ」ここがいい

 

①これって…熊谷達也

 

ゴールデン・カムイ観ていたら、思い出す小説があるんです。

それは熊谷達也さんの「邂逅の森」です。

 

 

15年くらい前でしょうか。

どえらく感銘を受けました。

 

熊谷達也小説の多くはマタギの仕事や雪山での狩りや遭難という自然との対峙、人の生き方や命の儚さや、端っこに生きる人々の暮らしやそれを脅かす戦争や支配を描いています。

 

なんだかデジャブを感じたんです。

この熊谷達也作品の、ビジュアル化不可能じゃない?的な世界を、そのままに映像で目の当たりにできているような不思議な感動がずっとありました。

 

そうしたらなんと、作者の野田サトルさんと、映画評論家の町山智浩さんの対談記事を見つけまして、そこで野田さんが、ヤンジャンの編集さんが熊谷達也氏の「銀狼王」を持ってきたことから、ゴールデンカムイが生まれたと語っていらっしゃいまして。

やっぱり!と。

 

熊谷達也ばりの北海道の大自然で繰り広げる冒険活劇のダイナミックな展開に胸躍らずにいられますか?

 

犬ぞりで吹雪を駆け抜けたり、馬で走り回ったり、はたまた熊を撃ちに雪山と向き合ったり。

なんか心惹かれませんか。

そういえば中学生のときに、井上靖の「蒼き狼」を読んだ時も似た感覚がありました。

 

モンゴルを舞台にしたチンギスハンの物語なんですが、どんな内容かも忘れたけど、いつかモンゴル行って遊牧民としてゲルで暮らすんダ♩なんて夢見たなぁ(*´∇`*)

今や文明の力なしには半日も生存できないひ弱な関西のおばちゃんですが。馬にも一回も乗らずに一生を終えるでしょう。

 

だからこそ、かもしれません。

 

ともかくも自然に対峙する人間を緻密に描く傑作群のなかでも、ゴールデンカムイは超絶クオリティ高く世に登場したビジュアル作品なのではないかと思う次第です。

 

②笑いとほのぼのあふれる楽しいシーンが毎回ある!

主人公の杉元の相棒として大活躍のアシリパちゃんはアイヌの少女です。

 

ゴールデンカムイは、明治末期か大正時代くらいの北海道を舞台に、アイヌたちが見つけた金塊を探す冒険活劇です。

だからアイヌの人はもちろん、その生活や文化がたくさん出てきます。

それがまた緻密!

きちんと取材してるなぁと。

しかも野田サトルさんの描き方はとてもユーモアが効いています。

杉元とアシリパさんが狩りをして得た動物を解体して料理して食べるシーンが初期のシーズンにはほとんど毎回登場するんですけれど、この「獲って料理して食べる」をすごく楽しく描いていて、めっちゃ笑えるんです。

 

基本的にゴールデンカムイは熊との対峙もですが、人間同士の血生臭い争いを、血しぶきひとつとっても割とリアリティ重視で描かれていて、子供が観るには幾分か残酷な場面が多いんですね。

 

そんななかにあって、杉元とアシリパさんの食事シーンはやたらほのぼのしています。

 

どんなに杉元が何人もロシア兵を殺してきた軍人でも、どんなにか厳しい自然界にあっても、誰かとともにご飯を食べるという営みの豊かさといいますか。

 

みんな楽しく笑顔になるんです。こういう場面は熊谷小説にもなかったといいますか、読み手に与える緊張感の緩急の付け方が絶妙だな、と。

 

2人がよく口にする

「ひんなひんな!」(アイヌ語でありがとう)

「おそま」(アイヌ語でうんこ)

は、我が家で流行ってます。

 

アイヌの文化といえば

観ていて思い出した小説がまたまたありまして。

川越宗一さんの「熱源」です。

 

2019年に直木賞受賞。樺太アイヌを中心とした小説です。

ここに出てくる帝政ロシアに謀反を起こしたブロニシたちが、ゴールデンカムイでいうところのアシリパさんの父であるウイルク、その友人キロランケ、ソフィアですよね。

まったくもって「熱源」がモデルでしょう??と思ってしまいました。

 

ただ「熱源」が刊行されたのは2019年。

ゴールデンカムイは2014年に連載が開始されています。

ウイルクやキロちゃん、ソフィアのロシア系物語は2019年に刊行された17巻に出てきます。ゴールデンカムイヤンジャンで連載されていて、「熱源」は書き下ろしなので、とするとゴールデンカムイの方が先に世に出ているんじゃないでしょうか。

 

で、実はこのゴールデンカムイのウイルクと「熱源」のブロニシに似た「ブロニスワフ・ピウスツキ」という実在の人物がいます。

ロシアに支配されていた時代のポーランド人で帝政ロシアに謀反を起こし、樺太に流刑されてからアイヌや辺境の少数民族の写真・音声の記録をたくさん残した文化人類学者だそうで。

 

なので、どちらが先とかいうより、どちらもこの人をモデルにしてるのかもしれません。

「熱源」もアイヌの文化や歴史を描いた面白い小説なので、合わせての鑑賞&読書がおススメです(*´ω`*)

 

④アニメ史上まれにみる登場人物のサイコパス比率

ゴールデンカムイでは、杉元や白石(子供に人気高し)というはぐれモノによるアドベンチャーアイヌを描くという側面の一方で、鶴見中尉率いる第七師団や土方歳三一味、網走刑務所といったほぼほぼ男性しかいない集団も大きく扱っています。

 

原作はヤングジャンプ掲載、読者想定は10~20代の男性でしょうので、やっぱりこう「男の世界」という感じがあるっちゃあるんです。

でもないっちゃないんですね。

 

ないっちゃないというか、それを上回る「ド変態」のクセの強さに驚愕するといいますか。たとえば第七師団は長である鶴見中尉はじめとして、普通の人が一人もいません。全員、変態かサイコパスです。

でその変態とサイコパスが、変にほのぼのシーンを繰り広げたりします。

 

それがこう、好きな人には好きなんだろうなと。

私も嫌いじゃないです。

お子様にはちょっと刺激が強い場面もあったりして、「これプライムで見放題でえーんかな…」と思うこともあります。よく。

BPOの網目をかいくぐっているのか、いないのかはさておき、驚愕のキャラクターがしでかす右往左往に、杉本やアシリパ、白石が巻き込まれて行きます。

で、だいたい笑いで終わるんですよね。

 

あの腹違いの弟を戦場で後ろから撃った尾形上等兵でさえ(にしても、卑怯すぎない??)、アシリパさんにやいやい言われて「ちたたぷ」(肉をたたくときのアイヌの掛け声)って言いながら肉をたたいていましたものね。遂に。

「世の中に完全な正義と悪なんてないよ」どころではなくて、「世の中に完全なサイコパスとフツーの人なんてないよ」というか。

出てくる「人間」が、何かが欠けていながらも、彼らが真に求めるものには共感しうる要素も含んでいて、しっかり顔を持っていて面白いです。

 

その「人間」を描く上で、声優さんも大きな役割を果たしているかと思います。尾形上等兵津田健次郎さん(声の人)にだいぶ救われていると思います。杉元の声もええで(´∀`=)

 

⑤まとめると

骨格がどっしりしています!

作者の野田サトルさんのアイヌ、北海道、極東の少数民族や歴史への敬意を感じます。

でダイナミックなストーリーの中に、「おふざけ」というか遊びシーンがふんだんに盛り込まれていて、人間くささといいますか、人間味のスケール感といいますか、それが物語を二倍も三倍も面白くするスパイスになっている。

 

というのが「ゴールデンカムイ」のすごさなのではないかと。

ハリウッドで数百万ドルかけて映像化されてもおかしくないので、いつかを夢見て楽しみにしておきましょうね(´▽`*)