2022 アメリカ
面白かったです。
ネタバレあり。
10才で家族を失い、自力で生きてきた少女の人生を描きます。
カイアが暮らすのは森の中の湿地帯。
まあナウシカみたいな感じ?
自然とともに生きていて、人間より自然に近いというか、鳥や虫を愛していて絵を描くことが好き。生存能力がめちゃくちゃ高くて10歳にして、ムール貝を獲って売りながら生活を立てています。
だけどもそんな生存能力の高さは評価されない1960年代アメリカ。
街の人たちからは「marsh girl」=湿地の少女と薄気味悪がられたり、というか蔑まれてたり…
学校に行ってないから、どうなるんだろうと心配していたんですが、テイトというこれまた湿地が好きで自然を愛する少年と仲良くなって、彼から読書を学び、その読書によって読み書きや自然科学の知識を得ていきます。
だけどテイトはカレッジ進学のために、カイアのもとを去ります。
そこにですね、イケメンぼんぼんの殺人事件が起こったりしてサスペンスの要素が絡まって、伏線もいっぱいあり、ミステリとしてもかなり面白いです。
サスペンスはストーリー上とても大事な展開でもあるんですが、私としては、このカイアの自然のなかでひとり生きる姿ですね。さまざまな愛を失いながら、懸命に生きる姿に、胸を打たれました。
とにかくカイアは幼い頃から周囲の愛を失ってばかりでまあまあな「ひとりぼっちの辛さ」を抱えているんですね。
ただ「ひとりぼっちのあいつ」ながら、カイアは淡々と日々を生きていく術を備えてもいて、加齢というか更年期障害か?思春期過ぎた子供たちの親離れか?あと離婚問題とかがどーっと重なって、「なんか孤独…」な今の自分に、若さが違えどカイアの寂しさに共鳴するといいますか。
「孤独の受け入れ方」を学び中な身としては非常に学びのある映画だった側面があり(*´ω`*)
たとえばカイアがずっとひたすら動植物の絵を描いたりしてて、これは素晴らしい孤独術だと思いました。ついには本の出版までするんですが、カイアの描く絵はタッチが優しくて実にいい感じで、あたたかいのがまた。
あとカイアの家が段々ステキになっていくさまもほっこりします。ガラス張りのテラスに布団しいたりしつつ、半分森と湿地に包まれて外で眠るみたいな。できないけどちょっと憧れ。日常の楽しみ方を知ることも賢い孤独術ですね。
この映画はそういう小さく細かな描写になかなか心くすぐられたりします。
そうでなくても基本、自然界に近い場所で、ある意味残酷でもある摂理を受け入れて生きている彼女には、孤独もまたあって然りのものなのかもしれません。
どんな人間も自然という大きなものの枠組では、その一部として淡々と生きているわけです。
そんな強いカイアですが、それでも社会を拒絶する世捨て人とはなっていません。
やっぱり、人としての営みに幸せを見出しながら社会に生きる人間なのです。
最後はハッピーエンドだし、なんとかテイトと結ばれたし、良かった良かったε-(´∀` )
最後の犯人ネタバレなどは、もうどっちでもいいやん(*´ω`*)な気分で、ほっこり終われた映画でした。