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子育てと正社員の両立にぎりぎりな40代の母(映画・読書・日々のこと)

子育てしながら正社員として仕事しています。40代の母のブログです。コピーライター、読書、映画、プライムビデオ。育児の悩みや仕事の悩み、広告、マーケティング、家族のこと、ふと思うことを綴ります。

世界で一番いとしい君へ_泣けるカン・ドンウォン

 

2020 韓国

ねたばれあり

 

泣きました。そら泣くやろて!

 

そしてまたカンドンウォンやん!

そう。「新感染半島」の憂いを帯びた軍人ジョンソクですよ。

 

tsubatarou.hatenablog.com

 

そのドンウォンが、楽天家のパパ役!

 

どっちかというと、こっちのドンちゃんの方が私は好きです。

あまりに違うキャラすぎて、最初まったく気づかなかったです。

演技派~!

 

ざっくりあらすじはというと、早老症という老化が通常の何倍も速くなる病気で生まれてきたアルムとその両親の物語です。

パパとママは17歳で妊娠・出産・結婚した元高校生カップルで、アルムは16歳。

学校には行かずに、息子を愛する両親のもとで幸せに暮らしていたんですが、

16歳といえばお年頃なわけで、世間というものや異性にも興味があるし、自分の人生を考えだしたアルムは、いろいろ悩んだりするわけです。

そして老化はアルムの寿命の最期にも迫ってきて。。。という最後泣くしかない展開ですね。

 

今回もKPOPを中心に韓国大好きなお嬢からのおすすめです。

 

とにかくアルムがいい子だし泣けるんですが、面白いというか、印象深いのは、このアルム君の両親が、高校生の時に勘当同然に結婚していて(二人とも妊娠がばれて親と決別)、そのエピソードが重い話の割にポップに描かれていることでしょうか。

 

なんかそういうのいいですよね。

17歳で妊娠して親に勘当されてビンボーだし、アルムは病気もあるけれど、3人で明るく生きているわけです。

 

特にお父さんとお母さんの力関係といいますか、お母さんがちょっと上というか、お父さん(ドンウォン)がちょっぴり怒られ気味で、基本奥様に優しいんですね。

日本でもよくある「理想の夫婦のバランス関係」ですが(そうなのか?)、やっぱり韓国でもこういう「母ちゃんの方がなんかちょっと上」という絶妙なバランスが「定番の夫婦像」としてあるんだなと。

 

韓国って儒教の国だというけれど、日本よりとっぽどアメリカに近くない?というのはかなり昔から思ってきたことで、それは実際に韓国に行った時も思ったし、映像作品でもストレートな会話劇が多かったり、男性がやたらレディファーストだったり優しかったりする感じだからでしょうかね。

 

みてて平和です。

 

そんなこんなで、優しい気持ちになれました。

でもアルムには生きてほしかったな。

 

ウーマン・トーキング 私たちの選択_自分で考え、判断し、行動する人生を何人が生きていっているだろう(ネタばれあり)

 

2023 アメリ

プライム無料!

ネタバレあり。

 

劇場に観に行きたいと思っていたらあっという間に終わってて、うんもう〜マイナー映画はこれだから〜っとがっくりしていたら、Amazonプライムさんでもう観れたんです!

 

 

嬉しい〜

良かった〜(*´∇`*)

 

原作はミリアム・トウズによる小説。

ボリビアの小さなコミュニティで実際に起こった大規模なレイプ事件を題材に、アメリカにある、小さなキリスト教コミュニティーで起こった事件として「もし被害者たちが話し合ったら」という想定で書かれています。

映画でもそれは同じで、ほとんどが女性たちの話し合いのシーン。

だから、そこまで重いシーンはありません。

 

で、この女たちの話し合いは、男たちが街に裁判に行っている間に3日間限定で納屋で行なわれました。

女性たちは男性たちが戻る前に決めないといけません。

「許す」か「残って戦う」か「去る」か。

投票をしました。

結果は「残って戦う」と「去る」がほとんど同数。

じゃあどっちにするか?

 

戦うというのが暴力に訴えるか、そうでないのか、具体的に何を指すのかは語られなかったですが、最後の方で、「血を流さないか流すか」に言及していたので、「戦う=血を流す」ということではあるようです。

映画の終盤には結論が出て、その結論に私はホッとしたし、それを実行に移せたのも良かったです。

 

ただ、監督のサラ・ポーリーが、何かの記事で「そういう議論が可能であるということが希望だ」と語っていたように、

www.cinemacafe.net

 

この映画はセンセーショナルな事件をモデルに、「女性たちの人生の選択」みたいなものを描いているんですね。

虐げられた人生。

奪われた尊厳。

 

そして女性たちは考えるのです。

どうすべきか。どうしたいのか。

じっくりと。

 

そして、そのしたいことをするために、必要な選択と行動は何なのか。

 

価値観は女性同士でも違います。

特に宗教の戒律や習慣がしみついている場合、分けて考えるのはとてもやっかいかもしれません。

でも、神の言葉って、女性を否定はしていないわけで、その教えに則りながらも、「これまでの規範」を超えた見解が可能ではあります。

また、自分たちの子どもたちに何を残したいか。

女の子に。

そして男の子に。

 

男の子に対して「何歳までを一緒に連れていくか」のシーンはなんだかリアルでした。

私も自分の子を連れていくか行かないか、考えましたね。

 

唯一男性として話し合いに参加していた記録係のオーガストは答えます。

「思春期の男の子はあやうい存在。でも教育によって希望はもてる」

オーガスト自身、母親の宗教への「異議」によってすでに村を追放されています。

そして大学に行っており、文字が書けない女性たちの代わりに記録を付けているのでした。

 

この村では女性は文字を教わることも学校に行くことも禁止されています。

 

映画の舞台は確かに現代にはない封建的で閉鎖的で家父長的なコミュニティです。

けれど、フィクションでしょ?と終われないものがあります。

 

「自分で考え、判断し、行動する」

ということが、現代を生きているはずの私たちに、どれだけできているのだろうか。

 

これは、女性だけの問題でもないかもしれません。

 

子どもたちが学校や地域で学ぶことは、なんなのか。

 

生きるために必要な力ってなんなのか。

 

それを考える時私はやっぱり

 

「自分で考え、判断し、行動する」

 

その力だと思います。

そしてそれが大人になるまでに、みんなできるようになっているのだろうか?と。

 

学校のテストで問われること。

受験勉強で身につけるもの。

 

そこに、この「生きるチカラ」の糧になるものがあればいいなと思います。

 

みんながそうだから、

それがルールだから、

自分がそうだったから、

大人がそういうから、

考えるのがめんどうだから、

考えても仕方ないから、

 

私は、自分のこれまでの人生で、これらの言葉を一度として言ったことがないと思っているけど、「絶対か?」と言われたら自信もないです。

 

ただ、何が自分の幸福かと言われたら、その答えはぱっとでないんですが、

「自分で考え、判断し、行動した」

そう感じて、自分の人生をちゃんと生きたと思って終わりたいです。

 

ぜんぜん今からでも遅くないよ~!と、自分自身に言いたいです。

日々は小さな選択の繰り返しです。

それを「これ本当にやりたかったこと?」と問い直してみるのもいいなと。

そういう小さなことが実はすべての始まりなのではないかなと。

とても大事なことなのではないかと。

 

思います。

 

すべての女性に、自分の道を生きてほしい。

そう生きれる世の中であってほしい。

 

道のりはまだまだかなあ。。

でも、小さな自分の選択ができる現代。

希望はあちこちにあると思いたいです。

 

新感染半島_女・子供・じいさんがヒーローです

 

2021 韓国

 

プライム無料。

ネタバレあり!

 

なぜこれを見たかというと、わが子に「新感染 ファイナルエクスプレス」をおススメされて。

 

これもね、良かったですよ。

どちらもゾンビものですが、根っからの「ウォーキングデッド」好きとしては、続々と出る「後につづけ」的な作品には期待は高くはないわけです。で、実際に「新感染」みてどうだったかというと、ゾンビのクオリティは本家には及ばずだとしても、思ったよりも面白かったので、続編?でもないけど、同シリーズの「新感染半島 ファイナルステージ」も観た次第です。

 

※余談:ゾンビ作品の本家って、本来は「ウォーキングデッド」ではなくて、始祖としては「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(1968年)だと言われており、だとしたら60年近く続くジャンルだし、それをいうなら「バイオ・ハザード」とかヒット作品もいろいろあるわけで、でもとりたてて「ゾンビものとはなにか」ということにこだわりたいわけでもないので、そっとしときますね。(個人的にはバタリアンが印象深い)

 

韓国版ゾンビもの、何がよいかって韓国の俳優さんのね、悪役俳優さんふくめ表情がとても豊かなところです。表情だけで語る派。

すばらしいです。

 

で、「新感染」もよかったけど、「新感染半島」を特筆したかったのは、主人公ともいうべき重要ポジションが女・子ども・じいさんだったからです。

いや主人公は哀愁漂うイケメン?のカンドンウォンなんですけど、ドンよりも存在感を放つのが女・子ども・じいさんだという。

 

ざっくりあらすじは、爆発的な感染によるゾンビ化が起こった「新感染 ファイナルエクスプレス」から4年後の韓国は、政府も含めなにもかもが崩壊していて、近隣諸国から隔離された世界になってしまったんですね。

で、香港に逃げていた元軍人のジョンソク(ドンウォン)だったんですが、借金返済かなんかでギャングの手先として崩壊した韓国にお宝を探しに送り込まれます。

で、そこにはまだゾンビになっていない人間もいて「北斗の拳」ばりの荒廃した世界で生き延びているんですね。

 

で、このジョンソクの危機を助けたのがチョルミンとジュニの姉妹。

なんだこのスーパー少女たちは!

お母さんのミンジョンと、自分を軍人だと思っているおじいちゃん(実は他人?)と一緒にジョンソクたちとお宝持って脱出劇を繰り広げるんです。

で、このおかんと娘がダブルでびゅんびゅんしまくるカーチェイスが、とにかくめちゃくちゃカッコいいのです。

 

「そうくるか!」ていうスパイスもハリウッドを超えてるかもしれないと思うくらいにアイデアが生きていて、でもとにかく、このかっこよすぎなカーチェイスをするのがドンウォンではなく、お母さんと娘っていうね。

 

そもそもカーアクション、ぜんぜん好きじゃないんですが、なんでかすごく面白く観れて。

アチェンジしてアクセル踏んで、ドリフト(横にずさーっとすべるやつ)やってるのがおかん&子どもというのもあるし(かっこよすぎー!!)、そのドリフトで、ぎったんばったんゾンビがなぎ倒されっていうのもあるし、スピード感あふれる演出ですね。

 

女・子どもは守るものという固定観念がちっともなくて。

まあこのあたりって制作者の意図的なものでしょうし、イマドキもうそういう古臭いのが通用しないのは周知の事実ですし、ジョンスクが自分を犠牲にして親子を助けるのではなく、ちゃんと自分が助かってるのも、アンチ・前時代アクションSF映画なのでしょうか。そして迎えに来る国連の「ジェーン」も女性。

 

とにかくそういう世界の動向をしっかり取り入れて、さっさと作品化しているんだなと。(主人公が男性なこともあえてな気がしています)

 

あと最初にあげましたが、表情の演技ですね。

これまで韓国のドラマ・映画を全然見てきていないので、遅ればせながら「あ、だから冬のソナタはヒットしたんだな」と気づいたといいますか。

 

なんか見入ってしまうというか。

確かにはまるかもなあと(*‘∀‘)

 

韓国ドラマは廃人化しそうなので、まだ迷い中ですが、映画はぼちぼち観ていこうかと思う今日この頃です。

 

赤と白とロイヤルブルー_新しい時代の足音がする!

 

2023 アメリ

プライム無料。

ネタばれあり★

 

原作はケイシー・マクイストンというアメリカの作家さんのベストセラー小説ですって。ニューヨークタイムズに連載されてたんですって。

 

イギリス王室の王子とアメリカの労働者階級のラブコメです(。・ω・。)ノ♡

労働者階級っていっても政治家の息子なんですけどね。

 

そうです。

二人は男子。

 

主人公二人がすごいイケメン&細マッチョでスタイル抜群。

腐女子の方々は必見です。(でも私の個人的見解ですが、女子ってみんなどっか「腐女子性」ある気がするんですよね・・・)

 

にしても、英国の王室とかホワイトハウスがこれをどうみてるか、気になりますね。

でも笑って観ている?のだと思うんです。

 

知らんけど。

 

つべこべいわずにラブコメとしてウキウキして観てほしいし、脇役陣も光っているし、初の女性大統領の誕生が絡んでくるのもいいですね。

 

現実はまだまだなのかもですが、そう遠くもないかも、、、そんな予感をさせてくれます。

 

これをね~日本でもね~できたらいいんですけどね~。

日本はほらまだ、女性市議が子連れで議会いったら、質疑の順番の数に入れてもらえなかったとか、そんなレベルなのでほんと悲しいですよね。

 

おっちゃん連中がこの映画をどうみるでしょうか。

「なーにがBL(せせら笑う)」とかでしょうか。

 

超えてこい!日本も!

 

フリーライターとして稼いでいく方法、教えます_初心者向けだけど勉強になりました

フリーライターとして稼いでいく方法、教えます

 

肥沼和之 2016 実務教育出版

 

フリーライターとして活躍する40歳(当時)の肥沼(こえぬま)さんのご自身の経験を通したフリーライター指南書です。

 

未経験の若者向けに書かれてますが、雇われおばさんライターである私もかなり勉強なりました!

プロのライターさんも一読の価値ありかと(´▽`)

日本全国民が総ライター化しうる昨今、「プロのライターってなんやねん」というのもひしひし感じる今日この頃ですが、なんかそのあたりの線引きというのを肥沼さんに見て取れる気もしました。

 

ということで肥沼さん流のフリーライター(プロ)としてのポイントを勝手にまとめてみたいと思います。

 

①取材をしているか。

おもしろいのが肥沼さんのライター事始めは、友達を取材して、その友達の人生をHPで紹介していくというところからなんです。

お金をかけず、お金ももらわず取材をして書いて、発信していくっていうのがめっちゃおもろいし、原点だなあと。

結局ライターってなんやねんって、取材にありというのは思います。

新聞記者なんかは「夜討ち朝駆け」とかブラックな働き方が基本なのかもですが、別にそんなんじゃなくても、やっぱり「その人の姿や声を生で聞く」「そこで体験する」ということが基本だなと。

肥沼さんが面白いのは、それがいわゆる世間の話題の対象だったり、流行り物だったり、そういうのじゃない点で、ネタは自分のまわりにもある、という視点からスタートしていることです。

で肥沼さんは、その自分の友達取材を原点に、仕事を増やしていきます。

 

②観察して分析してカタチにしていく基本ワーク

肥沼さんは上原隆さんが好きで、上原隆さんみたいになりたいとやってきているんですね。

私も有名なコピーライターでたくさん尊敬する人がいますが、彼彼女たちはそもそも大手の代理店出身だったりして、その後フリーランスしたり、起業されたりって人が多いというか、いわゆるずっとフリーライターとして活躍してきて、というのとはちょっとピンと来なかったんです。

そう考えると広告の世界って狭いというか、まず大手で働くことにアドバンテージがある世界だなと。

出版の世界でもそれはあるんでしょうけど、肥沼さんのように自分の力で仕事を掴んでいく、酒場で知り合っていく人脈作りでイマドキはバックの強さに関係なく自分ひとり稼ぐくらいはできるんだなと。

だから、ライターといっても雇われであることと、フリーランスであることにはまあまあな違いがあって、肥沼さんも書いていますが、その大きな違いは「書きたいことを選んで書ける」「縛られない」ということですね。

それを踏まえた上で、自分の力で稼ぐ力がフリーライターには必要なわけです。もちろん人脈作りとか、営業力とか、ネタの作り方、アンテナを上手く張るとかもあるんでしょうが、何よりも私はやっぱり、「物事や人を観察する力」?

観察して分析してカタチにしていくことがライターの基本ワークなんかなと。

肥沼さんがそう言っている訳ではないのですが、この本を「ライターって結局なんなのか」をずっと考えながら読んでいて、そこに帰結したといいますか。

 

観察して分析してカタチにしていく基本ワークは学者や研究者もそうなんですが、ライターは読み手ありき。

分かりやすい代弁者であるかどうか、です。

この「分かりやすさ」のせいで「カンタンそう」には見えるんですが、これって広告もよく思うのですが、表に出るのはほんとに膨大な情報の一部というか「見せる部分」であって、水面下ではものすごい労力と時間を費やした試行錯誤が行なわれています。それを理解していないと「簡単そう」って思ってしまうだろうし、観察や分析、表現するという作業が苦じゃないこと?

むしろ気づいたら何時間でもやっちゃってるよ、みたいなのがライターなんでしょうか。ね。

 

③モチーフから言いたいことにつなげる力があるか

情報配信というのは、「事実をそのまま伝える」という側面もあるとは思いますが、肥沼さんしかり、たとえ誰かへのインタビューなどであっても書き手が「言いたいこと」がそこには絶対に含まれていると私は思います。

ポリシーといってもいいかもしれないし、肥沼さんがご自身を「ジャーナリスト」だというように、自分の発信したものが、どういう意味をもつのか、誰に何をいいたいのか、明確なものがあります。

で、その自分のポリシーをしっかり自覚していて、それが多くの誤解を含まずに読み手に伝わっているのいればプロの仕事なんだと思います。

どんなメディアにもそのメディアなりのポリシーがあるわけで、書き手一人ひとりにもあって、たとえばAとBというメディアが同じ出来事を記事にしていても、角度や視点が違っていて、読み手の受け取り方が違ってくるするのはそういうことですよね。

その「ポリシー」がどれだけ多くの人に歓迎されるか、必要とされるか、それによってライターさんの仕事量や成功度も変わってくるでしょう。

けれど逆に言えば、「世の中にまだないもの」を提唱するポリシーを掲げるならば、たとえ現段階で読み手の母数が小さくても、今後の伸びしろは分からないし、一夜にしてバズるユーチューバーのようにはいかないけれど、「時間をかけて世に提唱していき、それが当たり前になる」ということはこれまでも幾多も社会に起こってきた現象です。

 

ただなんにしろ、

「誰に何をいいたいのか」

これは絶対に必要なんだと

この本を読んで改めて理解しました。

ほんとはライターって面白い仕事なんだな。

雇われライターの日常がしんどいので原点に返る作業、ほんと必要だな。。。(∩´∀`)∩

 

オープン・ウォーター_痛みのなかの若者の吐露がここにある

 

 

2023 ケイレブ・アズマー・ネルソン

ネタバレあり。

 

イギリス、ロンドン。

2018年。

バスケットボールの奨学生であり大学生として生きるアフリカ系(ガーナ)の"君"は、

友人のガールフレンドを好きになります。

2人は惹かれあってしまうんですが、

なかなかに難しい状況ゆえに、どっちつかずの関係が続いていき、結局は付き合うことになります。

けれど"君 "には、さらにややこしい複雑な思いというか、自信の持てない理由があって、そのことから、彼女に心を開かなくなってしまいます。

 

それは、黒人であるということです。

ある日、警察官から犯罪者の扱いを受け、権力の有無を言わさない暴力性をぶつけられた"君"は、怖くなります。

 

彼らは僕を見えてはいるけど、見てはいない

 

目に見えない差別は今もそこかしこにあると、"君"は感じています。

 

たとえば、彼女と2人で「誰かにのけ者にされたことは一度もないけれども、目標を持ってなければ認めてもらえない」から、大学ではバスケットボールやダンスにのめり込むんだ、というような会話の場面。

 

また黒人専用の理容店で偶然にも銃撃騒動に巻き込まれ、やってきた警察官たちからの十把一絡げなギャング扱い。

 

銃を向けながら、"君"を見えてはいても、彼らは決して、「見て」はいない

 

子供の頃に父と見た、警察官に取り押さえられ、殴られる男性。

 

そんなふうにいつか自分も。

破滅に向かう日がくるんじゃないか

わけのわからない運命を背負わされるんじゃないか

 

確かに、今を生きる若者の個人の内面として、こんな風な心情を吐露した物語はなかったのかもしれません。

 

なぜ"君"がここまで心を疲弊させてしまうのか、すごく理解できるかと言われたら分からない部分もあります。

 

それはやっぱり、私の日常が彼よりよっぽど平和だからで、異人種間の距離感とかを気にせずにいられる日本にいるからなんでしょうか。

 

ただもし、私がどこか別の国に今移住するとして、一度も差別を感じずに過ごすことは難しいのではと思います。差別される側として。

 

日本が銃社会ではないからというのもあると思います。

だって、いくら警察官に職質されたとしても、公共の場で銃なんか絶対向けられないですから。何人だろうと。

 

でも先日、移民在留管理局のウィシュマさんのような事件ありましたね。

 

ここが自分の本当の居場所じゃない。

 

そう思って生きるのは、ストレスも多いし、何かと辛いこともあるのは間違いないのだろうと思います。

 

最終的に、" 君"は、閉ざした心を変化させ、彼女に会いにいきます。

 

ちなみに彼女も黒人です。

 

この小説には、ジェームズブラウンとか古いのからケンドリックラマーなどまで黒人の作った音楽がたくさんでてきます。全然造詣はないので、少しだけYouTubeで聴いてみましたが、カッコいいです。体が自然にリズムを刻んでしまうようなプリミティブなパワーを感じます。

また歌詞も、この物語にオーバーラップします。

だから音楽は、" 君"を語り、"君"に寄り添い、" 君"を明日へと向かわせるパワーです。

 

この世界で、自分の居場所はどこにあるのか。

 

それをどこに見出せばいいのか。

 

あの苦い思いや息苦しさを、

一歩も外に向かえない出口のない怖さを、

忘れることが正解ではないと思うんです。

 

忘れずに、どこかで何かの形にして、語っていくことで、伝えていくことで、新しい世界が生まれていけば、人間は新しい居場所を作ることができると信じていたい。

信じて生きていけますように。

 

 

本書は作者自身を色濃く投影させたデビュー作とのこと。open water は、大海原という意味だそうです。

 

 

ゴールデン・カムイ(アニメ)_おもろすぎてまたロス!

 

 

 

 

今ならプライムビデオで無料で「4期」まで見れます。

 

毎日楽しみに鑑賞続けて2018年の1期から2023年の4期まで見終わりました。

 

傑作です。

またロスですよ。

ただゴールデンカムイはなかなかにヘビーでビターな一面でもあるので、ひとまず終わったことに安堵もあります。まだ続くようですが。

 

ここがいいんだよ!ゴールデンカムイに入りたいと思います。

※少しネタばれあり

 

「ゴールデン・カムイ」ここがいい

 

①これって…熊谷達也

 

ゴールデン・カムイ観ていたら、思い出す小説があるんです。

それは熊谷達也さんの「邂逅の森」です。

 

 

15年くらい前でしょうか。

どえらく感銘を受けました。

 

熊谷達也小説の多くはマタギの仕事や雪山での狩りや遭難という自然との対峙、人の生き方や命の儚さや、端っこに生きる人々の暮らしやそれを脅かす戦争や支配を描いています。

 

なんだかデジャブを感じたんです。

この熊谷達也作品の、ビジュアル化不可能じゃない?的な世界を、そのままに映像で目の当たりにできているような不思議な感動がずっとありました。

 

そうしたらなんと、作者の野田サトルさんと、映画評論家の町山智浩さんの対談記事を見つけまして、そこで野田さんが、ヤンジャンの編集さんが熊谷達也氏の「銀狼王」を持ってきたことから、ゴールデンカムイが生まれたと語っていらっしゃいまして。

やっぱり!と。

 

熊谷達也ばりの北海道の大自然で繰り広げる冒険活劇のダイナミックな展開に胸躍らずにいられますか?

 

犬ぞりで吹雪を駆け抜けたり、馬で走り回ったり、はたまた熊を撃ちに雪山と向き合ったり。

なんか心惹かれませんか。

そういえば中学生のときに、井上靖の「蒼き狼」を読んだ時も似た感覚がありました。

 

モンゴルを舞台にしたチンギスハンの物語なんですが、どんな内容かも忘れたけど、いつかモンゴル行って遊牧民としてゲルで暮らすんダ♩なんて夢見たなぁ(*´∇`*)

今や文明の力なしには半日も生存できないひ弱な関西のおばちゃんですが。馬にも一回も乗らずに一生を終えるでしょう。

 

だからこそ、かもしれません。

 

ともかくも自然に対峙する人間を緻密に描く傑作群のなかでも、ゴールデンカムイは超絶クオリティ高く世に登場したビジュアル作品なのではないかと思う次第です。

 

②笑いとほのぼのあふれる楽しいシーンが毎回ある!

主人公の杉元の相棒として大活躍のアシリパちゃんはアイヌの少女です。

 

ゴールデンカムイは、明治末期か大正時代くらいの北海道を舞台に、アイヌたちが見つけた金塊を探す冒険活劇です。

だからアイヌの人はもちろん、その生活や文化がたくさん出てきます。

それがまた緻密!

きちんと取材してるなぁと。

しかも野田サトルさんの描き方はとてもユーモアが効いています。

杉元とアシリパさんが狩りをして得た動物を解体して料理して食べるシーンが初期のシーズンにはほとんど毎回登場するんですけれど、この「獲って料理して食べる」をすごく楽しく描いていて、めっちゃ笑えるんです。

 

基本的にゴールデンカムイは熊との対峙もですが、人間同士の血生臭い争いを、血しぶきひとつとっても割とリアリティ重視で描かれていて、子供が観るには幾分か残酷な場面が多いんですね。

 

そんななかにあって、杉元とアシリパさんの食事シーンはやたらほのぼのしています。

 

どんなに杉元が何人もロシア兵を殺してきた軍人でも、どんなにか厳しい自然界にあっても、誰かとともにご飯を食べるという営みの豊かさといいますか。

 

みんな楽しく笑顔になるんです。こういう場面は熊谷小説にもなかったといいますか、読み手に与える緊張感の緩急の付け方が絶妙だな、と。

 

2人がよく口にする

「ひんなひんな!」(アイヌ語でありがとう)

「おそま」(アイヌ語でうんこ)

は、我が家で流行ってます。

 

アイヌの文化といえば

観ていて思い出した小説がまたまたありまして。

川越宗一さんの「熱源」です。

 

2019年に直木賞受賞。樺太アイヌを中心とした小説です。

ここに出てくる帝政ロシアに謀反を起こしたブロニシたちが、ゴールデンカムイでいうところのアシリパさんの父であるウイルク、その友人キロランケ、ソフィアですよね。

まったくもって「熱源」がモデルでしょう??と思ってしまいました。

 

ただ「熱源」が刊行されたのは2019年。

ゴールデンカムイは2014年に連載が開始されています。

ウイルクやキロちゃん、ソフィアのロシア系物語は2019年に刊行された17巻に出てきます。ゴールデンカムイヤンジャンで連載されていて、「熱源」は書き下ろしなので、とするとゴールデンカムイの方が先に世に出ているんじゃないでしょうか。

 

で、実はこのゴールデンカムイのウイルクと「熱源」のブロニシに似た「ブロニスワフ・ピウスツキ」という実在の人物がいます。

ロシアに支配されていた時代のポーランド人で帝政ロシアに謀反を起こし、樺太に流刑されてからアイヌや辺境の少数民族の写真・音声の記録をたくさん残した文化人類学者だそうで。

 

なので、どちらが先とかいうより、どちらもこの人をモデルにしてるのかもしれません。

「熱源」もアイヌの文化や歴史を描いた面白い小説なので、合わせての鑑賞&読書がおススメです(*´ω`*)

 

④アニメ史上まれにみる登場人物のサイコパス比率

ゴールデンカムイでは、杉元や白石(子供に人気高し)というはぐれモノによるアドベンチャーアイヌを描くという側面の一方で、鶴見中尉率いる第七師団や土方歳三一味、網走刑務所といったほぼほぼ男性しかいない集団も大きく扱っています。

 

原作はヤングジャンプ掲載、読者想定は10~20代の男性でしょうので、やっぱりこう「男の世界」という感じがあるっちゃあるんです。

でもないっちゃないんですね。

 

ないっちゃないというか、それを上回る「ド変態」のクセの強さに驚愕するといいますか。たとえば第七師団は長である鶴見中尉はじめとして、普通の人が一人もいません。全員、変態かサイコパスです。

でその変態とサイコパスが、変にほのぼのシーンを繰り広げたりします。

 

それがこう、好きな人には好きなんだろうなと。

私も嫌いじゃないです。

お子様にはちょっと刺激が強い場面もあったりして、「これプライムで見放題でえーんかな…」と思うこともあります。よく。

BPOの網目をかいくぐっているのか、いないのかはさておき、驚愕のキャラクターがしでかす右往左往に、杉本やアシリパ、白石が巻き込まれて行きます。

で、だいたい笑いで終わるんですよね。

 

あの腹違いの弟を戦場で後ろから撃った尾形上等兵でさえ(にしても、卑怯すぎない??)、アシリパさんにやいやい言われて「ちたたぷ」(肉をたたくときのアイヌの掛け声)って言いながら肉をたたいていましたものね。遂に。

「世の中に完全な正義と悪なんてないよ」どころではなくて、「世の中に完全なサイコパスとフツーの人なんてないよ」というか。

出てくる「人間」が、何かが欠けていながらも、彼らが真に求めるものには共感しうる要素も含んでいて、しっかり顔を持っていて面白いです。

 

その「人間」を描く上で、声優さんも大きな役割を果たしているかと思います。尾形上等兵津田健次郎さん(声の人)にだいぶ救われていると思います。杉元の声もええで(´∀`=)

 

⑤まとめると

骨格がどっしりしています!

作者の野田サトルさんのアイヌ、北海道、極東の少数民族や歴史への敬意を感じます。

でダイナミックなストーリーの中に、「おふざけ」というか遊びシーンがふんだんに盛り込まれていて、人間くささといいますか、人間味のスケール感といいますか、それが物語を二倍も三倍も面白くするスパイスになっている。

 

というのが「ゴールデンカムイ」のすごさなのではないかと。

ハリウッドで数百万ドルかけて映像化されてもおかしくないので、いつかを夢見て楽しみにしておきましょうね(´▽`*)

 

この2年くらいで買って良かったお買い物

足の甲にスマホの角を落として、めっちゃ痛いです。

 

ここ1〜2年。

「便利」「おしゃれ」「安い」を理由にいろいろ買いました。

買い物上手とは程遠い私は結構失敗も多いんです。

だけどそんななかで、

いやこれはマジでガチで買って良かった!!

というものがありましたので紹介しますね。

 

 

①キャベツピーラー

 

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カンタンに千切りキャベツできて、我が家のキャベツ消費率は格段に上がりました!

キャベツあったら半分はこのピーラーで揚げ物や肉料理やらに添えてます。

すぐ千切りができて超便利だし、ちゃんと千切りだし、洗うだけでお手入れとかもないし、なんで今までなかったのかってくらいに重宝。

このキャベツピーラーにより、「料理に包丁使わない」化が一気に花開きました。

この後ね、いろいろ買ったんです。

肉カット用バサミだとか、ブレンダーだとか。

とにかく、時短したいんです。時短!

時短命!

 

でも結局しょっちゅう使い続けてるの、キャベツピーラーだけ(´∀`=)

ほんとコスパも最高(о´∀`о)

 

と思ったら、今Amazon見たら、高!

買ったときは、1200円だったのに、今Amazonでは2000円超えてますやん。

結構どこにでも売ってるから気をつけて!

 

 

②ナイフラック

 

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キッチンの壁に取り付けて、磁気の力で包丁をペタッとくってけておける包丁の収納グッズ?です。

錆びない、壁からポロッと取れない、バランス良い磁気の強度で包丁がいい感じにしっかりくっつき、かつはがせます。

何がこれ、そんなに良かったかというと、とにかくシンク下の扉を開けて包丁を取り出すのが面倒くさかったからです。

これを使えばですね。まな板を置いて、「包丁を取り出さねば!」となったときに、あら便利。

目の前に包丁があるではありませんか。

で包丁をぺっと剥がせばいいだけ。

洗ってしまう時も、シンク下開けずにペタッとくっつければいいだけ!

包丁濡れててもOK!

これはもうなんかドラえもんの道具かよってくらいね、気分上がります。

お値段1600円台!

 

 

そして包丁は小さめ一本で充分いけると気づいた今日この頃。

面倒くさがりさん、包丁ミニマリストになりませんか(=´∀`)

 

IKEAのラグ

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キッチングッズではないんですが、

正解だったなと思うお買い物です。

 

IKEAのラグ。

ジュート100%。

まあね、2万超えました。

前に使っていたニトリのラグに子供が牛乳をこぼしたのがきっかけ。

拭いても匂うんです。

懐かしい雑巾の匂い。

 

で、悪臭に耐えられず、毛布コースで洗濯したら、ズタボロに。今までもラグを洗濯機で洗ったことがありましたが無事だったので、なんでだろかと考えて。

そしたら気づいたのが、洗濯機を買い替えたことです。

前は古いためか洗いが弱くて無事だったのが、新しい洗濯機がきちんとパワフルなものだから、ボロボロなったんかな…と。

そもそもラグは洗えるものでもないんでしょうね。でも洗いたいです。

 

なんにしろ、17年使っていたニトリのラグ、(ちなみに洗濯機は20年使いました)、好きだったんですが、処分せざるえず、新しくお迎えしたのがIKEAのローハルスというラグです。

 

ラグって相場が分からないものの一つなんですが、私のなかでは1万円だせば上等なんではないかと思うんです。ニトリの前のやつも1万ちょっとだったかと思います。

 

それがIKEAのこれ2万。

 

悩みました。

 

でもよくよく考えたら、ニトリのラグは17年間使って1万円。コスパめちゃくちゃ良くないですか?

年間だと600円切っているわけで、2万のラグを10年は使うとしても、年間2000円。

20年使えば1000円です。

この計算でのコスト感覚が正しいのかはよく分かりませんが、全然高い買い物ではないのではでは、ということで納得し。

 

で、このジュートって、いわゆる同じ麻素材のリネンとどう違うねん??

て話ですが、よくわかりません。

ただ、まあまあ硬いし、編み方も雑にみえたり、色味や繊維の太さも天然素材感があってムラが沢山。一部がポロリと剥がれたりしつつ。

 

だけどですね、すごいいいのが、踏むと足の裏に刺激があったり、夏場はペタペタしなくて、さらっと感がいい仕事してるんです。

 

天然素材だからかわかりませんが、肌には合うというか夏場の足の裏に合うというか。

違和感ないというか。

色味も好きだしリビング入るとなんか和らぐというか。

畳の感覚と似てるかも?

 

寝転ぶと身体に網目の型がめっちゃつくのも、味。

 

冬場も使えるのかはまだ分からないので様子を見つつ、出来るだけ長く使えたらいいな。20年くらい使えたらなー(*´ω`*)

 

ということで、これからもいいモノに出会えますように(=´∀`)人(´∀`=)

 

ちなみに洗濯機も新たに買ったものの一つですが、そんな感動がないというか。

よっぽどお値段も高いんですが、なんかね。

なんでか考えたんですが、

毎回洗剤入れずに自動で出てきてくれるとかね、乾燥機ついてるとかね、細かい面白さはあるんですが、そらこんだけ高いもんなというか、でもどこも似たり寄ったりだし、時短感が薄いというか。

そんなこんなで白物家電が誕生しだした50〜60年前の驚きと感動を私もあじわえまように。

 

 

 

 

US_この仮説をリアル社会にあてはめてみたら

 

2019公開 アメリ

Huluでみたかも。

 

ゲット・アウト」のジョーダン・ピール監督ということで意気揚々と観ました。

切り口が違うので、なるほどピール監督な~というほどな感を感じれなかったのですが(ゲットアウトしか知らんしな)、やっぱり共通しているのは「アイロニー」でしょうか。

皮肉が効いているなあと。

ネタばれあり。

 

ざっくりあらすじでいうと、バカンスに訪れたファミリーが、自分たちと瓜二つな容姿のファミリーに襲われ、逃避しながらバトルというサスペンスホラー作品です。

 

ストーリーを追う上では、なんというか、まーフツーのホラーです。

13日の金曜日でもいいし、スクリームでもいいし、パリピ的なまさかの状況で狂人が襲ってきた!逃げろ!だいたい型どおりに脇役殺されて、主人公たちが急に機転や運動能力やアドレナリンが爆発して、そしてなんやかんやと運がよくて逃げおおせ、でも最終ナゾを残して…という。王道っちゃ王道だと見受けました。

 

ただ。

襲ってきたのが「地下で生きているクローン」みたいなそっくりさんなんですね。

ここがなかったという感じでしょうか。

 

で、ですね。この「地下で生きるそっくりさん」ってなんだ?というのが、映画の中ではっきり語られてましたでしょうか?

だいたい何か大事な部分があっても見逃しがちな私には分からなかったんですが、アメリカ政府が人類の安泰と発展の政策として「影」「負」を追う要素としてクローン人間を作った的なことだと思います。

 

そしてそして、地下のそっくりさんの彼らは、自分たちが地下で人生を押し込められていることに不満を持ち、反逆を図り、地上の人たちを襲いだした、ということなんですね。

 

で、これはいわばメタファーなわけです。

じゃあ何のメタファーかです。そこは自信を持ってほぼ語られていない気がします。

私が思うには、同じアメリカでの富裕層と貧困層というよりは、豊かな暮らしを満喫している先進国とその先進国のためにさまざまな犠牲を払わされている途上国ではないかと。

日本が先進国かは以前よりあやうい感じですが、まあでも途上国の資源をむしりとり、低賃金で馬車馬のように働かせ物資を輸出させてるというこの世界の構図そのものを暗喩しているんじゃないかと思っています。

 

まあこれ、私ってば本当に悪意ある言い方になってしまっています。

私ももし「あなたってさ、アフリカとか南米とかから搾取してるよね」と言われたら

めちゃくちゃ違和感あります。

だってそんな意識が先進国に生きる人にこれっぽっちもないですものね。

一部の人たち除けば。「私が何をした?」と思いますものね。

ただでさえ、「いや自分も貧困層ですし」とも思うし。

 

だからです。だからメタファーなんですよね。

ピール監督。

そういうの露骨に出して伝わらないから。

 

こういうメタファーを深読みしたときに、最近思うのが、じゃあ私が今この買っている「お惣菜」だったり、「Tシャツ」だったりが、「スマホ」だったりが、どういうルーツで何を資源にして私の手元まで来ているんだろう?ということを考えたりします。

 

そういう作り手の顔が、まったく見えなくなっている現在社会において一方で、「誰が作ったか見える世界」というのも生まれてきていて、お野菜売り場に生産者さんの写真や名前を載せたり、どこの国で作られているとか、しっかり説明したり、そういうのも目にする機会もあります。

 

かといって、私自身はこれまで農家のおっちゃんの顔みても「へ~」くらいでそんな意識してなかったんですが、「誰が作っているのか」ってもしかしてものすごいものすごい、大事なことなのではないかと。

そしてそれはどうやって作られていて、作るのに、いくらかかるのか。

この世の中の仕組みです。

世界は近づいた。

でも私たちはこの世の中の仕組みを本当にちゃんとわかっているのだろうか。

 

むしろ全然わかってないんじゃないか。

 

そしてのほほんと知らんままでいたらいつか、目に見えない場所に潜む「何か」から、びっくりするくらい突然に反撃されるんじゃないか。

 

ピール監督、合ってますか?

 

ザリガニの鳴くところ_淡々とほっこり生きる孤独術

 

2022 アメリ

 

面白かったです。

ネタバレあり。

 

10才で家族を失い、自力で生きてきた少女の人生を描きます。

 

カイアが暮らすのは森の中の湿地帯。

まあナウシカみたいな感じ?

自然とともに生きていて、人間より自然に近いというか、鳥や虫を愛していて絵を描くことが好き。生存能力がめちゃくちゃ高くて10歳にして、ムール貝を獲って売りながら生活を立てています。

だけどもそんな生存能力の高さは評価されない1960年代アメリカ。

街の人たちからは「marsh girl」=湿地の少女と薄気味悪がられたり、というか蔑まれてたり…

 

学校に行ってないから、どうなるんだろうと心配していたんですが、テイトというこれまた湿地が好きで自然を愛する少年と仲良くなって、彼から読書を学び、その読書によって読み書きや自然科学の知識を得ていきます。

 

だけどテイトはカレッジ進学のために、カイアのもとを去ります。

 

そこにですね、イケメンぼんぼんの殺人事件が起こったりしてサスペンスの要素が絡まって、伏線もいっぱいあり、ミステリとしてもかなり面白いです。

 

サスペンスはストーリー上とても大事な展開でもあるんですが、私としては、このカイアの自然のなかでひとり生きる姿ですね。さまざまな愛を失いながら、懸命に生きる姿に、胸を打たれました。

 

とにかくカイアは幼い頃から周囲の愛を失ってばかりでまあまあな「ひとりぼっちの辛さ」を抱えているんですね。

 

ただ「ひとりぼっちのあいつ」ながら、カイアは淡々と日々を生きていく術を備えてもいて、加齢というか更年期障害か?思春期過ぎた子供たちの親離れか?あと離婚問題とかがどーっと重なって、「なんか孤独…」な今の自分に、若さが違えどカイアの寂しさに共鳴するといいますか。

「孤独の受け入れ方」を学び中な身としては非常に学びのある映画だった側面があり(*´ω`*)

 

たとえばカイアがずっとひたすら動植物の絵を描いたりしてて、これは素晴らしい孤独術だと思いました。ついには本の出版までするんですが、カイアの描く絵はタッチが優しくて実にいい感じで、あたたかいのがまた。

 

あとカイアの家が段々ステキになっていくさまもほっこりします。ガラス張りのテラスに布団しいたりしつつ、半分森と湿地に包まれて外で眠るみたいな。できないけどちょっと憧れ。日常の楽しみ方を知ることも賢い孤独術ですね。

 

この映画はそういう小さく細かな描写になかなか心くすぐられたりします。

 

そうでなくても基本、自然界に近い場所で、ある意味残酷でもある摂理を受け入れて生きている彼女には、孤独もまたあって然りのものなのかもしれません。

 

どんな人間も自然という大きなものの枠組では、その一部として淡々と生きているわけです。

 

そんな強いカイアですが、それでも社会を拒絶する世捨て人とはなっていません。

やっぱり、人としての営みに幸せを見出しながら社会に生きる人間なのです。

 

最後はハッピーエンドだし、なんとかテイトと結ばれたし、良かった良かったε-(´∀` )

最後の犯人ネタバレなどは、もうどっちでもいいやん(*´ω`*)な気分で、ほっこり終われた映画でした。