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モラハラ夫と食洗機_まあまあちゃんと離婚できるんやね

 

 

2023 堀井亜生

 

離婚に強い弁護士さんのご自身の仕事で出会ったモラハラ系離婚問題の事例紹介本です。

 

15の事例がありますが、一つひとつがマンガの見開きと7~8ページの解説で構成されているので読みやすいです。まあ読みやすいけど、深くもないです。

 

背景や経緯や人物の細かな描写はされておらず、インパクトのある部分をすくい上げて「こういったケース」という体裁を整えた感じです。

 

なので、深く悩んでいる人が手に取るというよりは、モラハラに興味があって「モラハラ離婚ってこういうことなんだ」という大枠を捉える入門書の入門書くらいにおもえばいいかも。

 

ただ、私も少し学べた部分もあったので、そこだけちょこっとご紹介します。

 

①「調停」が多い

弁護士さんを介した「モラハラ離婚」なので、ついつい泥沼の裁判離婚が多いのかなと思いましたが、ここで紹介されているのは基本「調停離婚」です。

 

  • 調停離婚⇒さまざまな合意のために、家庭裁判所が一緒に話し合いに立ってくれる
  • 裁判離婚(離婚訴訟)⇒調停離婚で合意できない場合、慰謝料など請求したい場合などに一定の条件を備えたもとで訴えて家庭裁判所に判断を下してもらう

それ以前の「協議離婚」は裁判所は関係ない当事者間の話し合いでの離婚ですね。これはまあモラハラじゃあ難しいかもですが、全体の離婚のなかで圧倒的に多いのは協議離婚だそう。調停を含めて裁判所が入る場合は1割とかなんですって。

 

だから裁判所に入ってもらっても、訴訟に至るケースはほとんどなくて概ね弁護士さんを立てて調停離婚するそう。この堀井弁護士の腕がいいのかもしれないですが。

 

で、その調停のなかでも明確に「モラハラが原因で」とはしていないんですよ。

もちろんモラハラ夫が怒鳴り散らしている動画や罵詈雑言のLINEという証拠があったりしても、そこをポイントに上手く事が運びやすくはなるようなんですけど、どちらかというと、「無茶をいう相手に、フェアな条件での離婚がフツーにできた」という感じ。

そのために「裁判所」という権威に出てきてもらうという感じでしょうか。

 

たとえば、親権で合意できない場合は、子育ての状況を開示して「誰が育てたほうが子供にとっていいのか(あるいは子供の望みに沿うか)」を公正に明確化していく。

財産分与で合意できない場合は、貯金や収入などを開示して「公平に分与する方法」を明確化していく。

 

それって、「モラハラでひどい目にあった」ことに対する慰謝料を求めるとか、相手を犯罪者として有罪にする、とかそういうことじゃないんですね。

裁判ってそういう「なんか物騒」なイメージを持ってしまっていたので、

そうじゃないと改めて感じました。

 

そうではなくて、ちゃんとした離婚をする、というか、一方にとって公正性に欠ける離婚の仕方をしないでおく。

そういうために裁判所を利用するんだなと。

あと調停だと弁護士もいらない場合もあるということ。

私自身、法テラスに相談した際に(法テラスのサポートダイヤルは無料ですよ)、「調停なら弁護士を頼まない場合も多いです」と言われました。ただし相手が弁護士を付けてきたら、やっぱりこっちも付けたほうがいいとは思います。

 

そうなるととたんにお金がかかるから、なんにしろ早い段階で金勘定はしっかりしといた方が良くはあります。

 

②「相手をこらしめたい」からの脱却

そもそも「相手を無闇にこらしめたい」というのがモラハラ夫のモチベーションであるので、その被害の復讐として「そんなお前をこらしめたい」と思う気持ちも分かります。

 

でも離婚って「復讐」ではできないんですよね。

相手の支配から逃れればそれでいいし、そこから先は自分(および子ども)の暮らしや生き方を獲得していくための土台作りというか方法のひとつであって。

だからこの本でもそうなんですが、モラハラの離婚で「あのモラハラ夫をケチョンケチョンにやっつけてやったぜ!」みたいな展開は全然なくて、①でも書いたようにほんとに「普通にちゃんと離婚できました~」というのが最終着地点なのです。

 

じゃあ「モラハラ夫」はその後どうなるんだ?

というのはですね。

知りません。

知ったこっちゃない。

 

そう。それでいいんだと思います。

もし離婚したらモラハラ被害を受けることなく程よい距離で関係を保てたというならばそんな良い着地点はないし、一切会わずに済んだ、でも自分の未来に目を向けれているなら大成功です。

 

つまり。

モラハラ離婚は、自分の被害を訴えるのではなく、

「被害から逃れて、人として最低限のちゃんとした生き方ができる」

これが勝利なんだと。

 

「私はラブリーガル」の100万ドル勝ち取る離婚訴訟みたいなことは遠い世界の話ですわね(。・ω・。)

 

 

 

私はこれをどう受け止めればいいのか、現段階ではよく分からないです。

正直いって人を虐げて支配してきた行為には罰を、被害を受けた方には補償を与えるべきだとも思います。

もっと世の中が進んだら、そういう判例も出てくるかもしれません。

 

でも、どんな加害と被害にも、たとえ犯罪だと立証されることでさえも、特に被害者には「勝ったから満足」という状況はないんだとも思います。

 

強いて言うなら、そこよりも、この先の自分の人生のなかで「失ったものを取り戻す」ことができるかどうかの方が大事なのではないか。

 

 

だからこそです。

復讐(やるか・やられるか)を物差しにせず。

離婚後にどう生きたいのか。

「私の生き方」

そこ悩むこと、大事だなあと。

(結局思春期から悩みが同じという自己指摘もあり(*‘∀‘))

 

<おまけまとめ>

タイトルの「食洗機」は何かというと、堀井さんの扱うモラハラ離婚に「男女の家事分担をどうとらえるか」が絡んでくるケースが多いそうで、その「家事の象徴」としています。モラ夫はたいがい食洗機買うの反対するんだって。

というかモラハラ夫はほぼ「家事は女がするもの。だから自分はいっさいしない」スタンスが多いそう。

よく分かる~~!分かりすぎる~~!

もちろん、そうでない場合もあるとは思います。

モラハラ」というのは、ドメスティックや組織内での、人としての権利が保障されない支配の構造の一つだと思うので、この本以外の事例もあるだろうし、ケースバイケースだし、だから「モラハラかどうか」は「食洗機」もですが、長期にわたってその場が息苦しいかどうか、虐げられていると感じるか、というので目安にするのがいいかなというのを私の結論にしたいと思います。