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子育てと正社員の両立にぎりぎりな40代の母(映画・読書・日々のこと)

子育てしながら正社員として仕事しています。40代の母のブログです。コピーライター、読書、映画、プライムビデオ。育児の悩みや仕事の悩み、広告、マーケティング、家族のこと、ふと思うことを綴ります。

三度目の殺人_犯人探しより気になったこと

 

2017 三度目の殺人

 

注意。ネタバレ結末バレあり

 

是枝監督作品ということに1/3過ぎたあたりになんとなく気づいて、やっといろいろ合点がいった作品。

 

というのも、だいたい前情報なしに見ちゃうから、こーゆー話がまったり進む映画には、ノルカソルカが割と分かれやすいんです。

この映画も、スジはなんとなく見えるだけに、作り手が何を見せたいのか、思わせたいのかがクエスチョンなもやもやを抱きながらみていて。

 

で、福山雅治パパからの是枝監督で、ああー!とね。

とはいえ、共通点は主役が福山雅治パパってだけで、筋もテーマも全く違います。

 

今回は是枝監督がライフワークとしている「家族」ではなく、「死刑制度」とか司法とかっぽくて、それだけに是枝監督と気付かないままちょいダラダラ観てしまったんですが、

いやでも福山雅治パパの姿は完全に「そして父になる」の後日談の程をなしていませんか?

 

キャラ似てる〜

 

結局、息子にも(そして父になる)娘にも(三度目の殺人)、仕事中心で寂しい思いをさせてしまい後ろめたいお父さん。

 

今回は福山パパは弁護士です。ざっくりあらすじと結末ネタバレまでいいますと、福山パパは自分の事務所を持つマチ弁だけどマインドがサラリーマン弁護士というか。

数ある案件のひとつとして役所広司さん演じる強盗殺人被疑者を死刑回避すべく、いつもの司法界あるある予定調和なルーティンで仕事を回そうとしたものの、この役所広司演じる三隅という被疑者、30年前にもすでに殺人を犯していてムショ帰りのおじさんがクセ者で、話すたびに証言がころころ変わって、つかみどころがなく、いろんな違和感や被害者の娘である広瀬すずちゃんの証言も相まって、全然別の真相にたどり着きます。

にもかかわらず、というか真相を知るが故に結局、職務を真っ当できず三度目の殺人=死刑判決という結末になっちゃったよーというのが大筋。

 

深夜に観てて途中で中だるんで少し居眠りしたから、もしかしたら違う面もあるかもですが、だいたい。

 

予定調和な司法界を描いてるからか、映画自体もちょっとなんだか予定調和的に進む感があり。

とはいえ、

  • 予定調和ありきで真相解明なんか求めてない裁判
  • 死刑回避優先がむしろ法廷の予定調和を助長してない?
  • つまり死刑制度があるが故にきちんと真相解明に向き合えてなくない?
  • 被害者がいい人、加害者が悪人じゃない殺人をどない解釈すべき?

 

みたいな部分を考えてみることができたかなあ!という作品ではあったかなとは思います。

 

私は是枝監督とは別視点から、死刑制度に疑問を感じていて、それは「死にたい犯人」に対して死刑がいかほどに意味があるのかという点です。

 

死刑というのが誰にとっても極刑たりえるのか。

むしろ自死を望む人の合理的な手段として悪用?される側面があるのではないかと。

 

「死ぬより生きてる方が辛い状況」というのは、もう今のこの日本ではそこまで稀なケースではないということを感じるのは、私がネガティブな思考だからというだけではないと思うし、結局世界的に死刑が廃止されていった過程には、人道性と同時に、合理性もないよね、という結論があるからかなぁと思うのですがいかがでしょうか。

 

まあそれを含めて日本の司法界が世界的にみても50年くらい遅れをとっていたり、イチ犯人にもイチ被害者にもなんにも視点なんか合わせずにお役所やっつけ仕事になりがちあるあるだったり、

それって「はいはい困った世の中だこと(๑>◡<๑)」では済まされなくない?

当事者の気持ちになってみて!という広瀬すずちゃんだったり。

 

是枝監督作品って、実は素直に面白いと思うわけではないんです。

どっちかというと是枝監督はお父さんな人。お父さん視点の家族や社会なんですよね。

だからそこになかなか新しい気づきがあったりしてついつい、観た後に何日か考えさせられるんですが、

お父さん視点にはなるほどという面もあるけど、やたら哀愁重視な面があるというか、「日常では構ってやれないけどいざとなったら守ってやるぜ」的なある種のエゴもサラッと感じるというか。

それを是枝監督が分かった上で描いてるんでしょうが、

私は福山パパよりも役所広司パパよりも、

この後の広瀬すずちゃんが真相をつまびらかにしなかったことによるPTSDなんかでずっと暗い人生を背負っていくことになるんじゃないか、

それが心配です。

 

日本の司法の体質は非常に問題だとも思うんですけどね。

それって日本のお父さん体質にも通じている気がします。

 

お父さんの役割が「世の中の悪人から守ってやるぜ」ではなく、フツーに我が子のオムツを取り替えたり予防接種に連れて行く時代かなって思うし、そうあってほしいなあ。

司法界にも権威に胡座をかかず、イチ生活者の視点を持ってほしいよね。

 

ちなみに福山パパが死刑判決後に最後に役所広司なる三隅につぶやく「あなたはただの器…?」の解釈としては、かつて三隅を裁いた裁判官だった自分の父親の入れ知恵というかマインドコントロールにより、広瀬すずちゃんに性的虐待していた父親を三隅に殺させた、つまり法で公に裁けない罪をコマ(器)としての三隅に裁かせた…って意味かと深読みしつつ…あーでもちゃんとあの辺も見てないかも…でもそうだったらちょい役なのに橋爪功(福山パパのパパ)がすごすぎて面白いのに( ̄∇ ̄)

という感じで予想したんですが、真相は知りません。