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子育てと正社員の両立にぎりぎりな40代の母(映画・読書・日々のこと)

子育てしながら正社員として仕事しています。40代の母のブログです。コピーライター、読書、映画、プライムビデオ。育児の悩みや仕事の悩み、広告、マーケティング、家族のこと、ふと思うことを綴ります。

友がみな我よりえらく見える日は_市井の人にスポットを当て続けるルポライター上原隆さん

 

 

ノンフィクションライターの上原隆さんを知ったのは、「フリーライターとして稼いでいく方法、教えます」の肥沼和之さんが「上原隆さんみたいなライターになりたい」とか、憧れるとか、そんなことを書いていて、「へー上原隆ってどんなライターなんだろ」と興味を持ったのがきっかけです。

tsubatarou.hatenablog.com

 

でも、地域の図書館で探してもないんですよ。で、大きい図書館で探したら2冊くらいだけあったので借りました。借りられたのは「君たちはどう生きるかの哲学 (幻冬舎新書)」だったんですが、遡って上原さんは哲学者の鶴見俊輔氏を師事しており、というか憧れてたりしたりしてて、なんかこう脈々と文筆家というものの時代の変遷というか、血筋というか系統というか、承継みたいな?ものがあるのかも、みたいなことを感じました。

 

でもこの本はルポではなくてコラムなので、ルポ系が図書館にないものだから、しょうがなくブックオフオンラインで何冊か手に入れて読んだのが上の「友がみな我よりえらく見える日は」と「喜びは悲しみのあとに」です。出版年順で読みだして、いま他のも読んでいるのですが、上原隆さんの作風?を理解する上でこの2冊を最初に読んだのは、正解だったと思います。

 

スタイルとしては、市井の人にインタビューしたり調べてまとめるルポルタージュです。取り上げる個人の物語をショートショートくらいの長さで短編にしてまとめられています。

市井の人ってそう、肥沼さんもやっていた「友達の人生へのインタビューをまとめる」みたいなところから始まっていて、たとえば役所勤めしていた学生時代の友人が事故に合って目が見えなくなって、とか、映画制作の写植屋さんだったけど写植という仕事がなくなってどうしようみたいな50代独身女子とか、障害児を育てる父親だったり、妻に熟年離婚された夫だったり、新宿でキャッチするお兄さんだったり、大手企業のリストラに合った人たちだったり、不倫したりされたりのそれぞれだったり、パチンコ依存症の妻を持つ夫だったり、EDの自分だったり(すごいな)。

 

ほんとに「隣のあなた」なのです。

 

そこに個人の感想みたいなのは一切なくて、実際に聞いたり調べたりしたことだろう内容が分かりやすく淡々とつづられています。

私小説風というか、描かれているのは個人のごくプライベートな側面であって、だから登場人物の名前などは本名ではないし、いろいろ変えているのは変えているんでしょうが、一言でいってとても面白かったです。

 

リアリティという意味ではノンフィクションなので申し分ないし、ネタ的にも、絶妙というか、「事実は小説より奇なり」というほど奇をてらった内容はほぼなくて、中年の不倫や恋愛ネタは若干数が多い気がするものの、それほど下世話な週刊誌風でもなく、どちらかというと日の当たらない場所にスポットを当てたかったんだなという感じ。

 

上原さんが師と仰ぐ鶴見俊輔氏があとがきを寄せていて、褒めています。

 

私は、上原さんみたいなスタイルのライターさんを正直知らなかったので、ひとつのジャンルを確立したというか、なかなか実は真似のできないライターさんではないかとおみそれしています。(正直、市井の人ルポ~?と興味なかった)

で、文庫の裏表紙の上原さんのプロフィールに「ボブ・グリーンタッチのルポを書く」とあって、そうなの?そういうジャンルがすでにあってアメリカでやってたんか!と。

何にも知らないもんですね。。ということで、上原さんが結構最近も出版されているのが分かってきたので、それを読みつつ、今後はボブグリーンの本も読んでみようかと思っています。図書館で探して。ボブグリーンはさすがにあるような気がするし。

ライターって芋づる式に脈々とした流れがあるものです。