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子育てと正社員の両立にぎりぎりな40代の母(映画・読書・日々のこと)

子育てしながら正社員として仕事しています。40代の母のブログです。コピーライター、読書、映画、プライムビデオ。育児の悩みや仕事の悩み、広告、マーケティング、家族のこと、ふと思うことを綴ります。

「ミッドナイトスワン」凪沙、自由に羽ばたけ!

「ミッドナイトスワン」2020

映画『ミッドナイトスワン』公式サイト|上映中

https://www.youtube.com/watch?v=2O8-2DvOxiI&feature=share

 

ミッドナイトスワン (文春文庫)

ミッドナイトスワン (文春文庫)

 

 

同い年の草薙くんがトランスジェンダーのお母さん役で虐待受けた子を育てるって言う前情報で、それは良さげだと観にいきました。久しぶりに劇場へ。

 

朝一狙って行った地方の映画館は15人くらい。思ったより多かったです。

 

泣きました。嗚咽をこらえるのに必死でした。嗚咽をこらえると…鼻水がでます。

 

止まらぬ涙とマスクと鼻水とで息苦しいのに嗚咽止まらず辛かったです。

 

草薙くん、切なすぎです。

特に印象的な部分を紹介しつつ、作品考察したいと思います。(ネタバレあり)

 

性別を超えた"静"を放つ稀有な存在

 

もともと草薙くんは、口数少なで静かな佇まいの印象。それが性別というか人間くささを感じさせない人だなぁと思っていました。

これがね、合う。凪沙という役にぴったり。女なのに女じゃない自分へのもどかしさと諦めみたいなものに挟まれて、都会の片隅でゆらゆら息をしている凪沙に。

一方で面倒見よくて、情にもろい。情にもろい分、だいたい報われない。そんな自分を肯定的には感じてなくて、最初は、預けられたイチカちゃんにも線をしっかり引いてます。

でも、口を聞かず不器用なイチカちゃんと触れ合うなかで、自分を重ねていったんでしょね。

 

うちらみたいなもんは、強く生かんとあかんじゃろと。(広島弁違うかも。。)

 

で、当たり前だけど、いちかが暴れても決して暴力はふるいません。イチカからすれば、その時点で実母とは違う大人を見たんじゃないかな。(でも私なら殴りはしないけど、食べ物をなにすんの!って確実に怒る…( ´ ▽ ` )ノ)

 

最後はあまりに悲しい展開になっていくんですが、そのときの草薙くんは神がかってます。

凪沙とイチカがバスに乗っている時点で私は嗚咽と涙が激しくなっていたので、きちんと観れていたのかも分からないくらいですが、海辺に着いてからのシーンの草薙くんは、もう人間を超えてます。

キレイね

ってセリフだけで、全部を語るっていう。

前もなんかで書きましたが、性別を超えたものってどこか人智を超えた存在というか、私には凪沙が天使に見えました。

 

凛として厳かなバレエのシーン

イチカも素晴らしく良かったです。観ながら娘のことを思い出します。中学生女子ってほんとにあんなぶっきらぼうで、ぼんやりしてるんです。役の子が素なのか、巧みか分かりませんが、慣れない感じが実に役にハマってました。

 

そんなイチカが好きなバレエってのも、天使要素。

白鳥の湖の衣装ステキです。

私はクラシックバレエのバの字も知りませんし、さして興味があるわけでもないですが、新宿という大都会のわい雑さに侵されることなく、人間が気高く尊厳ある生き物だと感じさせてくれるのがイチカのバレエのシーンです。

躍動とともに流れる厳かな空気。

凛としてかっこいいです。

イチカは最初髪ぐちゃぐちゃだったのが。

凪沙が応援するの分かります。2人で公園で踊るシーンは、あったかいシーンでした。

で、タイトルがミッドナイトスワン。夜中の白鳥。

そっか白鳥たちの物語なんだな。

 

脇に隙がない

友達も良かった。りんちゃん。

あと凪沙の職場の友達ミズキも。

あと真飛聖さん演じるバレエの先生。

先生が凪沙に、お母さん、って呼びかけるシーン大好きかも。分かる分かるというのも含めて。

実母の水川あさみちゃんの面倒くさい感じも上手い!

 

女だ母だのその先に

 

凪沙が性転換手術して、イチカの実母、水川あさみちゃんが、それ分かったときに、凪沙に向かってバケモノ!って言うんですが、どっちがやねんと心がメラメラしました。

でも一方で、性転換手術したら女になって、母になれるって凪沙の考え方も切なく。

そんなに女がいいか?

そんなに女じゃないとあかんのか。

今の凪沙でいいじゃんか。

でもそれは凪沙の人生を知らない、今のまだまだ未成熟な現実社会を前に、私がとやかく言えることではなく。

生きるってなんでこう、ややこしいんだろう。

 

愛にあふれているんですね、凪沙のやってることは。

だからこそ、凪沙が本当のお母さんじゃないことが、私には大事に思えるんです。

 

つまり、人間ってのは、母だから、父だからとかでなく、子供を愛しく感じる生き物なんだと。

いや、逆か。血の繋がりや戸籍や性別ではなく、凪沙のような存在をお母さん、お父さんと呼ぶのではないかと。

 

だから私はあえて、母の素晴らしさとか母性とかそんな言葉で結論づけたくなくて。なら実母はなんなんだとなるわけで、なら凪沙はなんなんだと。

 

 

凪沙は不幸せだったのか

凪沙はやりたいようにやったし、お母さんになれたし、悲しい結末だったけど、幸せな時間や意思を奪われた悲しい人ではなかったと私は思いたいです。

 

というか自分らしく生きようと戦った人間なんだと。自分らしく生きるってのが、どんな生き方なんだとさすらいながら。

 

そんでイチカに出会い、夢を見て、希望を見出した。

他人ってすごいなと。人を変えるし、生き方を変える。

もし凪沙がイチカに出会わずにいたら、凪沙は幸せだったのか。

それは分からないけど、少なくとも何かを主体的につかみとろうとはしなかったように思う。現実への諦めが勝っていったんじゃないかと。

変えるんだな、出会いは人を。

少なくとも、いやすごく大きく、イチカの人生に喜びと可能性を与えたのは凪沙です。

 

 

「チョコレートドーナツ」もぜひ。

ミッドナイトスワンが好きな人はぜひ、チョコレートドーナツも観て欲しいです。

 

チョコレートドーナツ(字幕版)

チョコレートドーナツ(字幕版)

  • 発売日: 2014/12/02
  • メディア: Prime Video
 

 

チョコレートドーナツのルディは、凪沙とは違って静ではなく、動なタイプで明るくうるさめ笑。アツくて愛に溢れてます。ダウン症の少年マルコがまたかわいいです。

プライム会員なら無料(^^)