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子育てと正社員の両立にぎりぎりな40代の母(映画・読書・日々のこと)

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「天上の葦」(てんじょうのあし) 相棒の脚本家による重厚ミステリ

天上の葦 上 (角川文庫)

天上の葦 下 (角川文庫)



「天上の葦」(てんじょうのあし)  太田愛 

角川文庫 2013

 

相棒の脚本家が描く骨太ミステリ。

デビュー作の「犯罪者」、次の「幻夏」ときて、3人主役シリーズの3作目、一番最新作です。

犯罪者【上下 合本版】 (角川文庫)

幻夏 (角川文庫)

私がいちばん好きなのは「天上の葦」ですが、どれも良かったー!

 

 

太田愛 作品の良いところ!

⚫︎主人公がかっこいい。キャラ立ちのよさ

潰れかけの興信所を営む鑓水七雄、七雄にスカウトされ雇われた行動力と観察力あふれるピチピチ19歳の修司、警視庁捜査一課から交通課に左遷された、槍水の友人相馬。この3人が毎回、事件に巻き込まれてピンチだらけになりながら謎を解き明かしていきます。

3人とも素敵なんですが、私は鑓水が好き。態度や言葉はふざけた感じなのに、博識でするどくて、グルメ。花柄シャツしか着ない。なんにでもなりすますタフさ。報われないアウトサイダーだけど楽しげ。タフで言えば修司もだけど、修司はまだ鑓水みたいなハンドルの遊びみたいな部分がない。そら19歳やし。ちなみに相馬はどっちかというと狂言回しな役割で、仲間だけど、後から真相を知るタイプ。読者と同じ視点で出てくるのが相馬です。

キャラ立ちの良さ、テレビドラマの「相棒」にも通じてるんだなと思います。

いわば杉下右京が鑓水、反町隆史が修司アンド相馬ってとこかな?キャラは全然ちゃうけど。

 

⚫︎風景をリアルに感じる

一言で言えば、描写の筆が上手い。って言うことなんでしょうかね。東京のリアルな街並みやリアルな店や施設名がバンバン出てきて、そこで登場人物たちがいきいき動いているイメージが頭にくっきり浮かびやすいというか。

 

「天上の葦」では、島の暮らしや鑓水の興信所なんかもそうですが、私は特に、老人介護施設の描写が好きです。亡くなったおばあちゃんを思い出します。

 

⚫︎謎解きが緻密で精度高い

多分、太田愛さんはかなり賢い。博識で緻密な作業ができる人。資料とか取材とか、しっかりがっつり時間かけてしてるはず!

ボキャブラリーが豊富でかつ伏線の張り方や差し込み方も精度高し。

で同時に、文章が現代的。シニカルだったりウイットもありカジュアルさが読みやすいです。

 

実はそーゆー作家は意外と少ない気がします。

うん。これを才能というのかもしれないな。

 

⚫︎冒険活劇

推理抜きにして、トリオの冒険譚にしても成り立つくらい、あちこち飛び回って、人との絡みや事件が楽しめる!

「天上の葦」では何回かに章立てて、瀬戸内海の人口100数名の島での体験が書かれていますが、島の人たちの暮らしや主役トリオとの触れ合いがなかなか面白くて読ませます。

 

⚫︎骨太ミステリの名にふさわしい社会派ぶり

SFも推理小説も、昔から小説には、社会に鋭いメスを入れる要素が不可欠でした。

星を継ぐ者とか1984年とか松本清張もそですよね。

読んだことないけど。

太田愛さんのは作品ごとにそれぞれテーマは違ってて、全部大きな社会テーマが根幹にあります。

一作目は行き過ぎた組織による利益主義、2作目は冤罪、3作目は報道と自由。

どれも薄いベールに包まずスパンスパンッと書かれていて、小説はマスなテレビよりも、遠慮なく書けるのがいいんだろなーというのが伝わります。

 

⚫︎結論。エンタテイメントと社会テーマの両立の手腕が半端ない。

結局「相棒」やん。。

ただし、断然小説の方が面白いです。そら毎週放映される1時間ドラマではなく、時間きけてぎゅうぎゅうの幕の内弁当が作れる小説だから。

本領発揮って感じかしら。

このシリーズまだまだ読みたいから太田愛さん、ぜひ長生きして、よろしくお願いします🥺