書くことは癒し。まったりシングルマザーの映画・読書・日々のこと

シングルマザーになりました。50代は60代をどう生きるかを考えていきたいと思います。読書や映画感想と仕事や子育て、離婚やモラハラについても思いついたら。

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション_戦争って「仮想敵」作るところから始まるよね&名作SFアニメの金字塔だと思う

第4話

 

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 原作浅野いにお

 

新年一発目にもって来るタイトルかどうかはおいといて(=´∀`)

原作は2014年から2022年までビッグコミックスピリッツで連載されてて、アニメ映画が2024年公開、私がプライムで観た30分連続アニメは2022年の作品です。

 

その連続アニメがめちゃんこ良かったので、今まさに原作書籍ブックオフにて買うかどうか思案中。

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(1) (ビッグコミックススペシャル)

 

なくらい面白かったです。

ネタバレありまくり。でも知らない方が絶対面白いと思います!

 

デデデデここが素晴らしかった

というか、ずばり

SFアニメとして比類なく素晴らしい

と思いました。

浅野いにおさんって、全然読んだことがなくて知らなかったのですが、すごい描き込むタイプらしく、アニメにもそれが反映されていて、美しいです。SFなので、宇宙船もだし、主人公の女子高生である門出ちゃんとおんたんの日常の舞台となる学校や街並み、部屋なんかも描き込みが丁寧で緻密でリアリティが素晴らしかったです。

 

で、です。

SFとは何か?と言われたら宇宙人や宇宙船だったり未知の生命体や人智を超えた科学世界を描く空想科学物語なわけなのですが、そもそもSFの源流には、現代社会への批判や人類への警鐘がテーマとして付きもので、私はいつも、その作品にどんな「社会への眼差し」が感じれて、解釈ができるかな?というあたりも、まあまあ気にしているんですが、デデデデのすごさは、現代社会のリアリティさを失わず、人類、てか日本人、てか東京都民が、勝手に自滅していく姿をじわじわと表現している点です。

 

この作品が他と一線を画すのは何よりそこだと思います。

例えば、私が観てきた優れたアニメとして燦然と輝く「進撃の巨人」は、展開はリアリティがあるけれども、実際を生きる私たちとは違う世界だし(そして外国風だし)、「ゴールデンカムイ」はリアル日本だけど明治時代で現代社会ではありません。(SFでもない)

だから、社会をクリティカルに描きやすいっちゃ描きやすいわけです。

 

一方、デデデデは、「今ここ」に宇宙人来たー!という、その時点でハードルが他より上がってしまうといいますか、忖度なしで現代社会を穿ってやる、というチャレンジ精神が素晴らしいし、それに成功しているのが感動です。

忖度、あったかなかったかは知りませんが。

 

で、デデデデが主張する、あるいは解釈しうるSFのクリティシズムな部分がまた、にくいなといいますか、たとえば、卒業式の「侵略者と立派に戦う強い日本を誇りに思う」という答辞だったり、過激思想に向かっていく小比類巻くんだったり、アメリカの傘のもと自国の軍事的パワーバランスを保ってきた日本が、アメリカの馬鹿みたいにめちゃくちゃな宇宙船攻撃に反発して、自分たちの高いテクノロジーを駆使して新たな兵器を開発したり、そういうのが私には「もうこれ半分リアルな話やん」みたいに自然に心に浸みてきました。

 

だから、怖いんですよ。

「え、もう今この世界?」「東京ではもうそうなってる?」くらいなリアルさが。

 

最初は、主人公の女子高生たちが侵略者とドカンバカン戦い出したらやだなぁ、でも青春ラブコメ一辺倒でもやだなぁとか物語の行く先が掴めずにいたんですが、女子高生たちはほぼ日常を普通に過ごしているだけだし、ラブコメというよりかは友情が軸になっているとはいえ、主人公や周辺のキャラ立ちが良すぎて、コメディ要素が爆発しており、特にシナリオですね。セリフ。

まあまあよく爆笑していました。

 

話を戻すと、デデデデのクリティシズムは、クリティシズムとして分かりやすくは出てこないのですが、でも、18話を数日かけて通してみていると、段々見えてくることもあって、そもそも侵略者が人類を殺すシーンはほぼなくて、一方で侵略者が人類に大虐殺されるシーンはえげつないほど描かれていたり、小池百合子似の都知事選民思想的に「あとは死んどけ」的な展開であったり、も含めて、「何気ない日常に暴力が浸透していくさま」というか、そこのリアリティが本当に秀逸なのではないかと思う次第です。

 

アメリカのアクション映画やロボットの宇宙戦争とか、そういうのは分かりやすいじゃないですか。

でもデデデデの侵略者は、小さくかわいく描かれていて、弱くて、青い血を流す。

極めつけは「人類と争う気はない」というのです。

そんなことは関係なく、「脅威」とみなして、3年とか詮索しつつも、結局、敵とみなしてせん滅を図ろうとしていく日本。

どっかで見た既視感。

「だってあいつら怖いから、おれら軍事力あげないと」「儲かるし」っていう。

 

というわけで、この作品には素晴らしい点はたくさんあるのですが、とにかくその軸の部分としての「SF要素」が素晴らしいということをお伝えしたい次第です。

 

<おまけ>

ヨアソビの幾田りらちゃんと、あのちゃんが主人公二人を、声優として演じています。もともと、あのちゃんの「ぼく呼び」のファンなので、「おんたん」にぴったんこで嬉しかったです!エンディング曲の出鼻が耳から離れませんよ。

 

あと!「いそべやん」。作中に登場するドラえもんのオマージュ的なマンガです。これがまたね、いいエッセンスになっていると思うし、ブサイクな「いそべやん」が出てくるのも楽しみでした。

 

一個だけちょっとだけ残念な点があるとすれば、最後のオチですね。

でもあのオチじゃないのであれば、どのオチが良かったかと言われたら、私には判断つかないので、うっすら納得しようと思っています。