愉快。
愛子センセーは、まあ文句ばかり言ってますわね。
それが愉快で楽しいです。
90歳過ぎて、若い子の声が聞こえないし膝もチカラが急に抜ける…
そっか、そんなふうに人間の肉体は衰えていくんだという勉強になりましたし、何より、そんな衰えの中でも愛子センセイの冴え渡る筆。
なんとなく勝手に、身体が衰えると、うちのおばあちゃんがそうだったみたいに特に耳が聞こえない老人は、何回も聞き直したり、とんちんかんな反応したりする姿に、脳も衰えているんじゃないかとすごい失礼なイメージを持ってました。
あ、違う、そーじゃない。
聞こえないことで、理解に時間はかかっても、その人の脳は全然衰えてない!
と知りました。
いや。ほんと。
それもっと言わないといけないんじゃないか。
愛子センセイ、グッジョブですよ。
にしても、とにかく面白いです。
さすがです。
愛子せんせいは90歳になってもかくしゃくと元気で、ていうのではなくて、やれあそこが痛いだの、スマホが分からんだの、昔はこうだったのに、今はけしからんだの、なんやかや文句が多くて、とにかくその文句が、笑えます。
だけども愛子せんせいの文句が、頭のかたい頑固じいさんが発するものとは違って、なぜ面白いかというと、決して自分が上で周りが下、とは断じていないからでしょうね。
どちらかと言うと、90歳の自虐ネタ特集。
すいませんね、年寄りで。
みたいなノリで、何事もぶつぶつ不平を言いながらもあっけらかんとしています。
このあっけらかんとした感じができるのは、愛子せんせいがやっぱり、作家の血が流れているからだと思うのです。
どこか、客観的。
だから世間さまを嘆いたりしていても、どこかクールといいますか。
自分の領域とか生き方とか、確固たるものがあって、歳をとれば衰えによるさまざまな支障やトラブルもあるけれども、まあそれがなんぼのもんや、という達観が滲み出る。
そして自分自身をも客観的に見つめて分析してしまう…
というか愛子せんせいが自身で書かれているように、このエッセイの連載依頼がくるまでは、何にもすることがなかったけれど、エッセイを定期的に書き続けることで、出版社の人やなんやかやと交流が生まれ、そして書くという「やること」の習慣が再び訪れたことによって、頭の整理にもなって、客観や達観にたどり着いたんではないかなぁ…とかなんとか、穿ってみたり。
でもでも、歳をとってからこそ、書くってめっちゃいいなと思うんです。
私も90歳になっても、なんか書いていたいです。
愛子せんせいほど、波瀾万丈でなくても、面白く書けなくても、オモロネタがなくても。
ベタですが、歳を取るって楽しそう!怖くない!と勇気をもらえる一冊でございました。
しかし92歳のベストセラー作家ですからね。
そして直木賞をはじめ、数々の賞を取っていらっしゃるのも実はつゆ知らず。。
グッジョブとかゆーていいお方ではない(*´∀`*)
大先生。
しかも2度の結婚離婚経験者で、子育てしてきた大先輩。
シンプルに尊敬。
去年100歳を迎えられたそうです。