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書くことは癒し。まったりシングルマザーの映画・読書・日々のこと

シングルマザーになりました。50代は60代をどう生きるかを考えていきたいと思います。読書や映画感想と仕事や子育て、離婚やモラハラについても思いついたら。

丘の上の本屋さん_将来、というか今すぐこんな暮らしがしたいです

 

丘の上の本屋さん

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  • レモ・ジローネ
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2021 イタリア

ネタバレあり

 

どこの町かは語られませんが、イタリアの片田舎の町の風景がとても、いいです。

古本屋を営むリベロじいさんは、30年以上細々と古本屋して生きてきた…て、理想の生き方じゃないですか!

そこにきて、このイタリアの石畳の街並み、ステキすぎて、そこしか見てないくらい…

 

毎日リベロじいさんのところには、あれやこれやの悩める若者や中年や同じじいさんとかが訪れて、こんな本ないのか、とか、この本買わないかとか…そんなじいさんのただの日常を綴った作品です。

なんですが、まあなんといいますかこのまったりした空気感が癒されます。

 

映るのは、リベロの営む古本屋と隣のカフェと、公園と、あと山や畑の町の風景くらい。全然お金かけてないのが丸見えのはっきり言ってめちゃくちゃ低予算だろう作品ですよ。

 

だけども、ただの田舎の町の美しさとか、のほほんした空気には、「ああこんな風に暮らしたい」が画面いっぱいに漂っており。

 

ストーリーのメインはリベロじいさんとアフリカ系かなんかの移民の子供エシエンとの友情です。

ワゴンのマンガを読みたいけどお金がなくて買えないというエシエンにミッキーマウスやらのマンガを貸し出したことから、次はこれ読んでみなさいよ、とピノキオ、イソップ、星の王子さま、白鯨…といった具合にだんだんとちょい大人向けの本を貸していくリベロ

エシエンは本が好きになってどんどん読んでいきます。

で、どうだった?とリベロと本について軽く話し合うんですね。

それがリベロにも楽しいひとときになり、本を読むこと、語り合うことが、幸せな時間になり得ることをこの作品は伝えてくれています。

 

ちょっとジブリの「耳をすませば」を思い起こすような、老人と子どもの優しい友情といいますか。

 

で、リベロは最後亡くなってしまうのですが、その時にエシエンに託した最後の本がなんか、意外にも?「世界人権宣言」だったんです。

 

い、意外だなぁと思いました。

公式サイト観ましたらば、ユニセフイタリアが共同製作に名前を連ねていたし、黒柳徹子さんのコメントもあるので、そこらへんの絡みでしょうか?

 

世界人権宣言なんぞ、中身も全く知らん…と思って、ちょい調べました。

第30条まであるのですが、第5条まで引用

第一条
すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。

第二条
すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。
さらに、個人の属する国又は地域が独立国であると、信託統治地域であると、非自治地域であると、又は他のなんらかの主権制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない。
第三条
すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。

第四条
何人も、奴隷にされ、又は苦役に服することはない。奴隷制度及び奴隷売買は、いかなる形においても禁止する。

第五条
何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは屈辱的な取扱若しくは刑罰を受けることはない。

 

どうでしょう。

私は、これみて、日本国憲法にも通じる!と思いました。

朝ドラの「虎に翼」でも似たようなこと言ってたよね、と。

 

世界人権宣言は、国連が1945年に設立された後、国連にて1948年に採択されました。

日本国憲法は1947年に施行されていて、時期は近いですが、具体的にこの2つが実際どういう関係なのかはわからず。ただ1945年に終わった第二次世界大戦からの平和への歩みは日本に限らず世界的なストリームだったんだなと改めて感じたし、国連は世界人権宣言から以降も、規約や条約を打ち出してより実現へ力を入れていきます。

 

まあそんなこんなでユニセフのPRの要素もなんとなく感じつつも、むしろ80年も前の、世界の「もう戦争はやめないとね。一人ひとりを、命を、尊厳を、権利を大事にしよね」という、至ってシンプルで普遍的に思えて聞き飽きた感があるけれども、もはやいまそれがもう忘れられてしまうことばかり起きて、逆にまた当たり前ではなくなってきた現在だからこそ、新鮮なのかも。

虎に翼でも、日本の憲法ってこんな美しい理想を掲げているんだね、て温故知新でしたものね。

 

何を未来に残したいか?

リベロじいさんがエシエンに託したものこそ、私たちが託していくいちばん大事なものだよと。

 

という、田舎町の片隅から世界へ、急にスケールがでかくなるフィナーレではありましたが、それも含めて、「やっぱイタリア映画はこれだよね」なんて思った余韻でした。