バラはバラは♪
気高くさーいーいてー♪
東京を経て大阪にも「ベルサイユのばら展」がやってきたので行ってきました。
そしてそのために原作を再読しました。
やっぱり、めちゃめちゃいいです!!
ということで!
「ベルばら」のここが好き
(ネタばれあり)
1.カッコいい女子の光と影
ベルばらは1972年にマーガレットで連載開始。
確かにめっちゃ王道の「少女漫画」な絵柄です。
この絵柄がどうも受け付けない…という人もいることは分かっています。
私自身も、ちょうど少女漫画界がお目目キラキラの「ド少女漫画」から脱し切った80年代に少女漫画を愛読していたので、「ド少女漫画」の絵が好きだったわけじゃありません。
そもそもきちんとベルばらのアニメを観て、マンガを読んだのはもっと大人になってからです。
でもでも、どうですか?
オスカル実際にいたら、めちゃんこかっこいいですよ。
近衛兵の軍服姿がかっこいい。
性格がかっこいい。
セリフがかっこいい。
貴族として社交界にいながら決して染まらない一徹な姿がかっこいい。
で、マンガあるあるとして、だいたい「どのキャラが好き?」という話になるんです。
でももう私はですね、オスカル一択。
その証拠にベルばら展でもたくさんグッズを買っちゃいましたんですが(∩´∀`)∩
どれにもアンドレすらいらない。オスカルだけ!
あ、マリーアントワネット混じってる…
そう、ベルばらの魅力はかっこいい女子=オスカルなんです。
問題は「カッコいい男子」に勝るとも劣らぬ
「かっこいい女子」がなぜもてはやされるのか?です。
オスカル的人気って結局、異性というナゾと、同性という共感のどちらも併せ持っているからじゃないかと思うんです。
跡継ぎのいないジャルジェ家にて男性として育てられたオスカルならではの
なんていうか女性と男性のいいとこどりした感じ?
そしてゆくゆくオスカル自身はアイデンティティに苦しみます。
いや違うな。オスカルのアイデンティティは完全に女性です。
ただ、貴族としてのオスカルの境遇も含め、当時のフランスの社会的なジェンダー観、あるべき人生として「女子は結婚が幸せ。男子は家を継ぐ」とパキッと分かれちゃうんです。
だから、父上はオスカルを男子として育てたくせに、王朝の威信がゆるぎ、革命の気配がしてきたとき、オスカルにお見合いをさせます。
「男子として生きるにはリスクが高い時代だから、やっぱこいつは女子として生きたほうがいいな」という判断で。
で、オスカルはアンドレが好きだけど、アンドレは庶民だから、絶対に貴族の自分とは結婚できないんです。
だからオスカルは、「軍神マルスの子」として生きること(男子として生きること)を決意するのです。。
このシーン、超カッコいいー-ん\(゜ロ\)(/ロ゜)/
2.フランス革命がリアルによく分かる
ベルばらさえ読破すれば、もう教科書の「フランス革命」の部分は読まなくていいです。
というくらいに丁寧に描かれています。
マリーアントワネット、ルイ16世、フェルゼン、デュバリー夫人などはもちろん、
ロベスピエールとか革命派の方も描かれています。
三部会の様子とかもしっかりと。
またオスカルが悩むんです。
自分は近衛隊としてマリーアントワネットはじめ王朝を守ってきた体制側の人間です。
だけど人口の8割を超える庶民が貧困と飢餓で苦しむのを目の当たりにして葛藤します。
で、結局オスカルは革命軍として戦います。
オスカルもアンドレもフィクションのキャラです。
でも作者の池田理代子氏は「え、本当にいるんじゃないの」と思わせる感じに上手いです。
そうそう、とにかく池田理代子さんは、コマ運びというか、ストーリー運びが上手い!
というのが今回の再読で発見したこと。
史実にフィクションを混ぜ込むバランスも素晴らしいし、大切な部分を見失わず一本筋が通った壮大なテーマを最初から最後まで、ぶれることなく貫いているって本当に敬服します。
24歳の時にこれを描くって、どんだけすごい人なんでしょう。
なので、ベルばらはフランス革命の勉強にもなるんですが、どこまでが実在の人物で、どこからが創作なのかは調べておく必要はあり。
テストで「バスティーユを襲撃した人物は?→オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ」とか書いちゃだめっていうのは言っておきたいです。
私はロザリーは創作だけど、姉のジャンヌあたりはモデルがいるのでは、と勝手に推測しています(真実は不明)。
3.激しいのはフランス人の気質なのか、理代子氏の気質なのか
オスカルにはアンドレという人生を通したサポーターがいます。
ジャルジェ家の使用人であり、幼いころから一緒に育った幼馴染であり、
オスカルとは最終的には両想いの恋人になります。
このアンドレというキャラがまた面白いといいますか。
粘着質でストーカー気質なんです。
だから、「もしかしたら明日死ぬかもしれない」革命のなかで、
決して結ばれることが許されないオスカルを、殺そうとしちゃったりするんですよ!!
アンドレの純愛って、よくよく考えたらコワイ。。
でも最終的には止まるんですけどね。
そしてなんとか死ぬ前に結ばれるので、
いやアンドレ良かったねと(*'ω'*)
このようなアンドレの気質が代表例でして、
全体にベルばらは「激しい」んです。
芝居がかっているといってしまえばそれまでなんですが
登場人物たちの行動も心の機微も、もうなんというか激しくて熱い!
ふり幅でかい!
そして理代子氏がコマの合間に滑り込ませるセリフがまた素晴らしくポエトリーで抒情的です。
さきほどの「軍神マルスの子」シーンもそうですし、
オスカルはしょっちゅうポエムっています。
だけどそこには人間としての普遍的な共感があって、前述しましたが、「かっこいい」というのと「共感できる」という二つの感情で心をつかまされるのが、ベルばらの類まれなところであり。
襟が目に刺さりそう
ということで、「ベルサイユのばら」は、人生のなかで一度は読むべき名作だと私は思っております。