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子育てと正社員の両立にぎりぎりな40代の母(映画・読書・日々のこと)

子育てしながら正社員として仕事しています。40代の母のブログです。コピーライター、読書、映画、プライムビデオ。育児の悩みや仕事の悩み、広告、マーケティング、家族のこと、ふと思うことを綴ります。

プラットフォーム_社会派すぎてホラーすぎる

 

 

プラットフォーム 2019 スペイン

めちゃくちゃ面白いし、衝撃的でした。

ネタバレあり。  

 

ひげのおじさん(お兄さん?)ゴレンはあるセンターに入所します。

理由はナゾですが、半年頑張ったら何かの認定証が手に入るらしいです。

 

ゴレンが最初に目覚めたときは48階でした。

四角い部屋の真ん中に穴が空いていて、

食べ物が乗ったテーブルエレベーター?が1から順繰りに

降りてくるんですね。

 

で、山盛りのご馳走だったであろうエレベーターが48階に降りてくる頃には、残飯しか残ってないんです。

 

この階層にはそれぞれ2人ずつ閉じ込められるんですが、1ヶ月ごとに、ガスで眠らされている間に同じ相棒と一緒に階層が移動になります。

何階に飛ばされるかは謎。

運悪く下の階に行くほどに、食べ物がなくなっていくわけで、ゴレンとトリマガシというおじさんは次には171階で目覚めます。

もはや降りてくるテーブルにはなんにも食べ物はありません。

一年以上、この施設にいるトリマガシさんは、下層階が死を待つしかないことが分かっているため、絶望するより先に、なんとゴレンを縛り上げて、足の肉をいただく、という作戦にでます。

 

ところがそこに、ミハルというアジア人女性がテーブルとともにおりてきて、トリマガシおじさんをぶっ刺してやっつけます。

ゴレンが48階にいる時に優しくしてくれたから助けたんですね。

そしてゴレンは飢えの末にトリマガシおじさんを食べるのです。

 

まあそんなこんなで上がったり下がったりを繰り返すなかで、下層階に行けば殺し合ったり、自殺したり、上層階は独り占めしたり。

 

社会の縮図として描かれるこの施設で、

じゃあ、どうしたら下層階は救われるのか。

このシステムを変化させる術はあるのか?

 

カニバリズムしながらなんとか生き延びるゴレンは、次に6階で目覚めたとき、答えを出します。

 

皿に1人分ずつ取り分け、その分だけを各自が食べること。

50階までは1日食事を抜いてもすぐに死にはしないから、食べてはいけない。

命のリスクが高い51階より下でそれを行う。

争いになったときは殴ってでも食べ物を守る。

 

そして、最下層まで行ったあと(何下層まであるか不明なので多分250階まであると推測しつつ)最後にテーブルエレベーターはビュンッと超高速で最上階まであがるので、パンナコッタだけは残して0階に届け、それを管理者へのメッセージにして、システムを解体させようと計画します。

 

さて、ゴレンはこの富の公平な再配分とも言うべき方法で、施設の全員を救うことができるのか?

できないのか?

 

ストーリーはほんとに凄いし、

映像や出来事のグロさ、人間の保身や自分かわいさのグロさ、救いがないグロさ、幾重にもグロさがとぐろを巻いていて、本当にショッキングです。

 

これがでも、現実社会の縮図なのはとても納得できるんです。

世界を見れば、貧困地域は紛争が起きて殺し合っていたりするし、先進国は、自分たちの豊かな生活のために、途上国の資源を搾取し、途上国との関係や環境を破壊しています。

 

私たちはその「事実」を1日に何回認識するでしょう。

もし自分がこの施設に入れられたら、どんな振る舞いをするのか。

 

この想像こそがいちばんコワイ。

私なんか、速攻殺されているか、餓死しているか。

 

ゴレンは、最下層に到着します。

最下層は250階以上にもっと深い階層でした。

 

そしてそこにいたのは、幼い女の子でした。

ゴレンはシステム側へのメッセージとして

パンナコッタではなく、女の子を最上階まで運ぶことにします。

自分は最下層にとどまって。。

 

「私たちはあなた方には屈しない」というメッセージです。

子供を生かすこと。

それは、自分たちが分け合って生きることができる証だと。

人間がどれだけ愚かでも、希望があるのだと。

 

あとね、やっぱりヨーロッパの映画なので、根底にキリスト教があるように感じました。どこがどうってうまく言えないんですけど、

小説にしろ、映画にしろ自分が「社会派や」と思う欧米の作品って

「根底にキリスト教」だったりすることがあります。

どういえばいいのかな。

人間の極限の状態の選択を

どこかから俯瞰してみている=カメラ

という感じがするからでしょうか。

「カメラ」って、要はリアルではありえない視点です。

なんというか、神や自然や宇宙や人智を超えた存在が

レンズを通して映しだして、観る者に問いかけているというか。

ヨーロッパはキリスト教が色濃いので、

おそらくエピソードの中に聖書や教えのメタファーがたくさんある気がします。

宗教全般よく知らないから分からないですが。

 

だから欧米の人が観る視点と私が観る視点もまた違っている部分もあるのだと思います。

だけど、信仰・信条・文化ベースは違っていても「普遍的に感じ取れるものがある」

というのが傑作たりえる物語のすごさというか。

 

すごい作品だったので、監督のガルデル・ガステル=ウルティアさんのことを調べようと思ったのですが、スペインの映画だし、全然情報ない。。

wiki日本語もなくて、唯一英語版で分かったのが同い年だったということ!

そしてどうも、プラットフォーム以外にそんなにメジャーな作品はなさげ。

CMなど商業系コマーシャルの監督していた?よう。

それ以外全然分かりませんでした。

 

R-15指定だし、ホラー風味が強いので、観る人を選ぶ作品ではあるものの

(おじいちゃんおばあちゃん・子供たちは見ないでヨシ(≧◇≦))

私はとても優れた作品だと思いました。

 

そもそもスペインの映画ってみたことないかも!

世界にはほんといろんな傑作を作る人がいるもんです。