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子育てと正社員の両立にぎりぎりな40代の母(映画・読書・日々のこと)

子育てしながら正社員として仕事しています。40代の母のブログです。コピーライター、読書、映画、プライムビデオ。育児の悩みや仕事の悩み、広告、マーケティング、家族のこと、ふと思うことを綴ります。

「ガザの美容室」「ホテル・ムンバイ」_戦争や紛争と向き合う作品

2015 パレスチナ・フランス・カタール2019 オーストラリア・インド・アメリ

戦争にまつわる映画を2本、観ました。元気出ないけど大事なことを伝える作品をみるのも大事。
ネタばれあり。

ガザの美容室

パレスチナのガザにある、美容室が舞台です。
女性店長とアシスタント、お客さん、全部女性。
おそらく、美容室の日常のたわいない風景です。

とはいえこれは、どうみても日本の日常とは違うなあと。カルチャー的な面で。

だってお客さんがたくさん待っているのに、店員は夫と電話してんですよね。。

あと、お客さんも「早くしてよ」「まだ??」と歯に衣着せずに怒ってるんですけど、
店主の女性が一向に気にした感がなし。もうこの「一事が万事ゆっくり」が日常なのかな?
多少はデフォルメもあるんでしょうか…

会話は全体にとげがあって、みんないらついてるんです。
店長も店員も急がないし謝りもしない(*´ω`)
(でもちょっとコメディタッチ)
全然お客様が神様じゃない。
このフシギ。


で、そんななかで、停電が起き、遂には外で銃撃戦が始まります。
パレスチナのガザがいつも戦禍にあって、そのなかの「日常」は、やっぱり日本の「日常」とは違うんです。
で、みんなちょっとざわつくんですが、どうしようもないわけです。
なので、不安を抱えながらも、普通に営業を続け、普通にメイクをされて、普通に「早くしてよ」と待っているんですね。

途中で、お客さんの夫(たぶん)がスマホに「おいまだかよ」みたいな電話をかけてくるんですが、
「え?タバコ?そんなもの買って帰れるわけない」みたいな。
「食事は冷蔵庫にあるから食べといて」みたいな。

でも、外の銃撃戦が終わらなくて、女性陣も煮詰まってきて、取っ組み合いのけんかが始まったり、妊婦が産気づいたりして、美容室ももう大騒動に。

とにかくですね。
彼女たちの日常は、戦争や紛争とともにありながらも、結婚を控える花嫁がいて、妊婦がいて、医者にかかれないぜんそくのおばちゃんがいて(どうもイスラエルの方がいろいろ進んでるらしいけれどなかなか行けない)、はすっ葉な女子から、敬虔な女子、まあいろいろなんですね。
で、面白かったシーン。
はすっ葉な女子がヒマだから、「もし今店にいる私たちが政府だったら」と言い出します。
「あんたは電力大臣、あんたは社会問題相、あんたは対イスラエル問題相、あんたは厚生相」とか言っていくんです。
これね、女が国を仕切ったら戦争しない、戦争しているのは男なんだっていうことを浮き彫りにするシーンです。
パレスチナの複雑な情勢とイスラエルとの絡みとか、全然分からないんですが、
そういうことを、ガザの美容室に集う「やる気があるのかないのかまったりした美容室とイラつくお客たち」の夕方の姿を描くことで、語っているんだなというのは分かりました。

「ホテル・ムンバイ」

こちらは、2008年に実際に起こったインドの商業都市ムンバイでの同時多発テロをベースにした映画。
170人以上の多数の死者を出したテロだったそうで、そんなことがあったことも知りませんでした。
5つ星ホテルのタージマハル・パレス・ホテルでも30名以上の死者が出たそうで、その半数は「お客様をお守りせねば!」というホテルの従業員だったそうです。

こちらはホテルレストランのサービススタッフであるのっぽの主役アルジュン(デブ・パテル)がいい味を出しています。
でも、とにかくこっちはもう無差別に容赦なく撃たれて死んでいくので、ただただ怖いです。
このテロの背景も、やっぱりイスラムをベースにインド・パキスタンとの緊張やそこにいろいろ食い込む欧米との絡みなど
背景が複雑で難しいんですが、実際には首謀者がまだ捕まってないそうで。。
首謀者はつかまらず、ほぼ射殺された10名の実行犯は貧しい10代の若者だったりするのをきちんと描いていて、なんともやるせないです。

あと、従業員がホテルのことをすごく誇りに思っていて、本当に命がけでお客様を守ろうとするんですね。
シェフの「お客様は神様だ」という教えもあり。
でもって、映画では最後に「ホテルが復活したよ、よかったね」というところまで描いているんですが。
でもそれって、なんていうか・・・複雑ですよね。
ガザの美容室」ののほほん具合とは、いわば真逆といいますか。
「誇りを持って使命感として」みたいな部分は、少し男性チックな発想だなと、この2本の作品を連続で観て、ちょっと思いました。

でも、白人女性のお客に「パグリー(ターバン)が怖い」と言われたアルジュンが「とても大事なものなんですが、どうしてもというなら、はずします」と言ういいシーンもあります。白人の側のエゴを描いてますよね。

とにかくこの映画は、虐殺の容赦なさぶりが際立っているのでずっとビビって観てました。