「メタモルフォーゼの縁側」鶴谷香央理
5巻で完結しちゃいました~~
もっと読んでいたい~~!
頑張ってる女子シリーズ。(フィクション含め、知ると元気になるやつ紹介)
縁側に座ってさわさわと頬に風があたる、ゆるやかな時間が流れる作品。
ざっとあらすじを言うと、友達がいない腐女子高校生が、バイト先の本屋さんで、BL漫画を買いにきたおばあちゃんに出会って、友達になる話です。
75歳の市野井雪さんはある日、本屋さんできれいな絵の漫画を買ってみちゃいます。
なんと、それが男の子同士の恋愛マンガ。
ボーイズラブですね。
でも素直に共感できたりして、
そしてその本屋さんにバイト勤務する腐女子高生のうららちゃんとの
推し活仲間としてのやりとりがはじまります。
でも・・・言ってしまえば、まあただそれだけなんです。
でも「それだけ」がとてもいいです。
だってありそうです。
こんなことがあったら、すごくいい。
特に市野井さんがやっぱりいいんです。
うららちゃんは、母子家庭で、友達がいなくて、どっか寂しさを抱えている子なんですけど、市野井さんと出会うことで、「BL腐女子の推し活仲間」を得ます。
でもそれだって、最初から元気いっぱいに意気投合とかじゃなくて、
気を使いながらの探り探りなんですよね。
そして市野井さんはさすがの年の功で、うららちゃんとの距離の取り方が絶妙で、
ぐいぐい行く時は行くし、だけど相手の状況をきちんと読んで
超えちゃいけない部分もちゃんとわかってます。
ずっと前から思ってたんですけど、
たとえば小さな子供とか、小さな動物とか
高齢者にフィットする存在を結び付ける「縁」や「出会い」が
これからもっと大事になっていくんじゃないかと。
ただ、腐女子とか女子高生との接点までは想像をしてなくて、
でも考えてみればBLがこれだけ大きなマーケットを形成している根底には
やっぱり人間の原点の結びつきが、
同性同士という通俗を超えたからこそ
浮き彫りになるという側面もあるからで
そこに70代が共感しうることは現代ではぜんぜん可能なんではないかと。
うちの母もそうだけど、今の70代って、古い因習にあらがってきた世代でもあり。
歳をとって頭が固くなっちゃう高齢者もいるけれど、そうでない高齢者もちゃんといて、そこにスポットをあてるのは、新しくも、「あるあるあるね」と納得できます。
ただ最後がね~ちょっと切ないです。
でも、ちょうどミドルの40代の自分としては、「別れ」というのは人生で絶対に抜いてはいけない経験だと、最近ようやく実感として感じてきて(どんな人生も最終は死だし…)
そういう「別れ」「喪失」を何回も繰り返して、そうやって婆さんって
市野井さんみたいな、ゆるくてあたたかい結びつきを与えられる存在になっちゃうんだろうなあと。
ただそこにいるだけで、温かい存在。
そういうのがもっとメジャーなイメージになれば、ほんといいと思います。
映画もプライムになったら観ようっと。