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子育てと正社員の両立にぎりぎりな40代の母(映画・読書・日々のこと)

子育てしながら正社員として仕事しています。40代の母のブログです。コピーライター、読書、映画、プライムビデオ。育児の悩みや仕事の悩み、広告、マーケティング、家族のこと、ふと思うことを綴ります。

「The handmaid’s tale」すごいドラマを観た ネタバレあり

すごいドラマにハマっています。

「ハンドメイズテイル」はHulu制作のアメリカのドラマ。

夫がたまたまHulu入ってて(「ダイヤのエース」見るために)気になってたので遂に観ました。

2017年にシーズン1スタートして、今シーズン4まで配信されています。

 

 

ドラマの舞台背景を一言でいうと(一言で全然言えてないけど)時代は現代なんですが地球環境の著しい悪化で出生率が激減。超少子化に陥ったアメリカでは、原理的な解釈の新興宗教的クーデターでアメリカ政府が崩壊させられ、超絶保守、超絶封建&全体主義国家ギレアドが誕生。ギレアドでは女性は職業を持つことも学業も、本はじめ文字を読むことも禁じられ、例外なく家庭を守る役割を任じられます。

出産経験のある若い女性は侍女=ハンドメイドとして、高官の子供を産むのが仕事。

「儀式」という名目で強制的にコトが行われ、意思を持つ人間としては一切扱われず出産だけのためにいる存在です。

また、男女問わず体制に意見したり歯向かうとまあまあ残酷な肉体的処罰が与えられ、最後は縛り首で壁に吊るされ晒されるか、汚染物質にまみれたコロニーで死ぬまで廃棄物処理をさせられます。

 

以降はめちゃくちゃネタバレありなので観てない人は読まない方がよいです。

 

主人公ジューンは以前は編集者として働いていたんですが、アメリカがギレアドに政権掌握されて法律が変わると、有無を言わさずの解雇。夫と小さな娘とカナダへの亡命を図るんですが、捕まって娘は奪われ、自分は侍女にさせられます。夫が亡命できたのがまだ救い…なんてのはほんとなぐさめにならず。

 

侍女仲間のジャニーンなんかは、侍女育成センターで、一話目早々に態度悪いと片眼を抉られ。。

 

以降、全きディストピアの世界がずーっとずーっと続きましてただただもう、辛い…

ちなみに同性愛者は性の反逆者として、それだけで縛り首やら銃殺です。

 

いつか終わる、きっと助かる…そんな希望を胸に、これでもかと虐げられる日々をなんとか見続け…。

シーズン2の半ばくらいまではほんとそれ。

侍女たちがあまりに辛くて。

その中でジューンはなんとか生き延びようと必死に日々を過ごします。

 

何というかその描写がとても素晴らしいんですね。

意思や尊厳を奪われた女性の立場として全体にセリフが少ない作りで、セリフじゃない表情での表現が多く、抑え込まれた叫びを表す演技が、画面が静謐な分、観ている人間の感情の奥底を揺さぶってきます。

 

不安、恐れ、絶望、自棄、これらの感情や心の揺らぎをジューンの表情だけでローテで繰り返し。

 

こんなのドラマで見たことない…

 

でもって映像が美しくて、一層の不気味な気配を漂わせます。

 

セリフなくジューンの動きや表情で進むシーンが多いから、ストーリー展開に若干の間延びを感じて焦れったくもなるんですが、そんな間延びをしのぐ、テーマ性、人間描写、徹底した世界観で、最初からずーっと圧倒させられてました。

 

展開が変わり出すのがシーズン2の半ばあたりからでしょうか。

 

それまでも徐々にカナダに逃げたり助かるキャラクターもあって希望も少しはあったんですが、遂に本腰の展開。キャラ変。

あ。ジューンが変わった!と思う決定的なエピソードが出てきます。

奪われた娘に会うために巻き込んだ女中さんが、バレて縛り首になるんですけどね。

あそこでジューンは…死にましたね。いや死んでないんですが、何というか、今まではなんとか生き延びる方向で動いていたのが、もう死んでもいい、お前らを絶対に許さない的な方向に変わった。

気がします。

そこからはまあまあやりたい放題というか、リベンジ&脱出みたいな要素が出てきて、といっても一朝一夕ではなく、犠牲もたくさん払って、もうてんやわんやな感じです。

 

怖いものなしになるって、それは悲しいことです。

それは自分の人生も、残された者も、顧みないということであり。そういう覚悟をしちゃうということ。シーズン3、シーズン4はまたそのあたりをじっくり描いていきます。

 

ぶっちゃけジューンはカナダに逃げる事ができて助かるんですが、その安堵や喜びを全然前向きに描いてくれなくて_:(´ཀ`」 ∠):

 

いろんな展開も、演出も、演技も、美しい映像も、音楽も!さまざまな要素が素晴らしい作品です。

 

ベリンダカーライルのHeaven is a place on earth がユニークに登場したり。使われている音楽は毎回凝っています。

でも私がこの作品に最も強く感じることは、「こうなる前になんとかしないと」「奴らに虐げられるな」のメッセージに尽きるんです。

 

きっとこの作品はそこがテーマで軸なんじゃないかと思うんですが、女性であり、母であり、仕事があり、家族があり…

ジューンの人生に自分自身を重ねることが簡単にできる。

そうするとジューンの悲劇は自分の悲劇です。

ギレアドのように、尊厳が奪われ、虐げられることは今の私の生活や社会にはない。

 

ほんとに?

 

私は今、尊厳を持って、虐げられることなく、自由に生きれている??

 

後半。カナダに逃亡してきた女性たちはみんな辛いから、忘れたい、もう憎みたくないと言うんですね。そんな女性たちにキャラ変後のジューンが言うんですね。

 

「なぜ怒ってはいけないの?」

 

 

女性たちは虐げられてなお、なぜ怒らないのか。

この作品は投げかけてくるものが重くて深い。複雑だし多面的です。

 

それゆえに素晴らしい。

 

最初、こんなエグいドラマ、誰が観るんだろうと思っていたので、えー!とびっくりしたんですが、この作品は賞も獲っているようですし、高い評価されているみたいです。

 

私自身は作り手を手放しで賞賛したいし、よくぞ世に出してくれたなぁと思っているんですが、本来いろいろツライ作品なんではないかなと。

 

大好きなウォーキングデッド以上にエグいと思います。

それは楽しませてくれるエンタメ性以上に、現代社会への風刺の要素が強いからであり、突きつけるエッジが鋭いからです。

 

女性よ 奴らに虐げられるな ですからね。

 

でも考えてみれば、ネイティブアメリカンや黒人の歴史のなかにも同じ要素は見出せるし、そういうテーマの名作もたくさんあります。

 

支配する側と支配される側の物語はまだ終わらない。

 

その先を歩むための、たどり着くための、今必要な一歩なのかもしれません。

 

原作はマーガレット・アトウッドによる1985年発表の小説「侍女の物語」。

すごいな…40年近く前…

 

でもってドラマの続きシーズン5はどうなるかは現段階では分からないみたいです。。

 

空気感あふれる&セリフが少ないから字幕がおすすめです。