「君の膵臓を食べたい」は読んでなくて、浜辺美波ちゃんの映画は観ました。
結論。ネタバレあり。
めちゃくちゃ良かったです。
今回はもうすぐ入院の娘のために、軽い一冊を探して、いつものようにまず自分で読んでみたんですが、住野よるさん、良かったわあ〜(о´∀`о)
ラノベ上等なつもりで読んだんですが、期待?を裏切る巧みさと深みがありました。
オチはだいぶ最初に気づいたんですけどね?( ̄∀ ̄)←自慢
小さな伏線に気づいたりするのも読書の楽しさ。
住野さんの文章、初めてですがリズミカルで小気味いいです。するする入ります。
主人公は小学生女子で、一人称で書かれていて、まんま小学生が作文書いてるみたいな文体で進みます。
絶妙におとぎ話ぽい「ですます調」と、男性女性のステレオタイプな口調の違いを意図的に分けて書かれた会話部分、物語が現実と夢の狭間な感じを上手く溶けこませています。
この主人公の小学生なっちゃんは、本が好きで、友達がいないです。
大人の言動や自分が不思議に思うことへの好奇心と追求が強くて、ちょい屁理屈をいうタイプ。
でもクラスで弱いものイジメをする男子を論破するような強くてカッコいい女の子でもあります。
こまっしゃくれていて、子供の頃の自分に似ているなぁと共感しながらも、当時の自分にはなかったなっちゃんの強さに憧れも抱きました。
でもなっちゃんは私以上に友達がいない。
なんせ、口が立つし、ちょい上から目線(笑)。
後半、アバズレさんになっちゃんの短所をずばり当てられて、なっちゃんは雷に打たれたように衝撃を受けますが、似ている私も同じように衝撃を受けました。
いやでも確かに。
アバズレさんはなっちゃんの大人の女友達。
木の家に住むおばあちゃんも。
物語の主題はなっちゃんが国語の授業でやっている、幸せとは何か?を考えるというそのものでしょう。
大好きな大人の友達たちとのやりとりのなかで、なっちゃんは幸せを探していきます。読みながら一緒に自分も幸せが何かを考えます。
主人公とともに歩いていきながら読書できるのは、いい擬似体験であり、思考のトライ。
子供の頃の私は、誰からも好かれること、友達がいっぱいいること、それが正しい「私」のあるべき姿と思ってきました。成長するにつれて、そうできない自分がそれに相応しい要素がないんだと気づき、そんな自分が好きになれなかった。私を認めてくれない周りを憎み見下し、憎んでいた周りの誰よりも自分が好きになれなかった。18歳でやっと、息苦しいのはなんだそういうことかと気付きました。
でもなっちゃんは自分の鼻持ちならなさを指摘されても、友達とぶつかっても、クラス中から無視されても、自分を嫌いには思わなかったんですね。
ここが何より大事な部分で、周りからの評価で自己判断を左右されない、なっちゃんの思考の深さ、住野さんの思考の深さです。
誰からも、好かれなくていい。
たった一人でいい。
目の前の大事な人だけはきちんと理解したい、味方でいようと。自分自身も含めて。
いま大人になってそれができているかと言われたら私にはまだまだで、人生とは、大事なものを見極め選びとっていく枝分かれの旅だなぁと感じます。
「人生とは」はなっちゃんの口ぐせです。
人生はカラメルのないプリン。
カラメルがイヤなら最初からカラメルいれなくていいじゃん。
日常のお菓子がたくさん出てくるのも、なんだかホッとします。
ライトなはずのラノベに、いや単に表紙がアニメイラストだからそう解釈していますが、ラノベではないかもです。いやでも読みやすさと主人公の年齢で言えばラノベかもしれない。
どっちでもいいけど、読めば深くてどっしりおはぎな住野よるさん作品でした。小豆がスッとする甘さの。
また住野作品、ぜひ読もうっと。