前情報見たけど、いうほど、というか全然エロくなかったです。
でも家族で観るのはやめとくべき(о´∀`о)
物語だけでいうと、海の上で暮らす過剰な性欲をもつムイが父や年老いた夫に売春させられてて、ムイを好きになった客の青年が地上にムイを連れ出したけど、馴染めなくて結局海上生活に戻って売春するしかない、みたいなところですが、エロいとかより、底辺の暮らしをよくこれだけカラッと描けたなあと。
香港で貧困層のさらに貧困といわれる海上生活者というのがイメージがつかなかったですが、実際にはこんなにカラッとはしてないんでしょうね。
そこは映像のマジックというか、何を描くか、というフルーツチャン監督の意図なんだけど。
全体には見やすいし、理解しやすいし、いろいろ頑張っても空回りする底辺の暮らしを、空回らせながらも全く希望がないわけでもないラストだったかなと思います。
特に役者さんが全員とてもいいです。
ムイ役のクロエマーヤンさんは、役のために14キロ太ったらしくまたこう、それがムイという存在を絶妙に際立たせる効果が確かにあって。
フルーツチャン監督が何をいいたいのかは、本当のところ分かったのか分からないですが、ただ人間の尊厳とは何かは考えさせられます。
字面でも実際にしても、ひどい暮らしといえるムイの、香港の海を走る船の上での凛とした美しさ。
きらびやかな香港の大都会のきらめき、ディズニーランドの花火、海に暮らす彼らしか見れない景色。
映し出された香港の夜景はただただ美しく。
ムイたちの位置が自分の立ち位置でないことに、果たして本当に安心していいのか。
自分の日常の隣にある全くの異世界に、さああなたは何を見る?と。
フルーツチャン監督が描くムイは、決して虐げられた者の表情はしていません。
そこに生きる人がいる現実をフィクションでどう掬い取るかは、受け取るかは、見る側に委ねられています。
海の上だからこその、競争のアウトサイドだからこその、ゆるやかさとあやうさ。
ムイのこの先にずっと、凛とした孤高の尊厳を奪う出来事が来ないことを祈りたいです。