孤狼の血 2017 角川文庫
警察×ヤクザの小説はもしかしたら初めてかもしれません。
しかも、広島が舞台。
といえば、「仁義なき戦い」ですよね。
見たことないので、見てみたくなりました。
Amazonプライム有料か…チ
さて、「孤狼の血」の魅力はたくさんあるんですが、やっぱり決めては、ガミさんで、まさにヤクザ社会を渡り歩く刑事の一匹狼ぶりが真骨頂です。
ガミさん。やる事めちゃくちゃだけど筋の通った図太い男。
あとガミさんとバディ組む新人日岡もいいです。
でもただそれだけじゃ、なんかの二番煎じに過ぎなくなるなかで、小説「孤狼の血」を佳作にしているのは、丁寧な人物やヤクザ、警察組織の描写と、物語が展開するに連れて、作者の柚月裕子さんが何をこの小説でいいたかったか、がめくるページの回数とともに沁みていくことです。
ヤクザが怖いのか、警察が怖いのか、じゃないんですよ。いやそれもベースにはあるんですが、結局どっち向いていようが群れなきゃ生きていけない世の中で「孤狼たる」ことのまがいなさなんじゃないかと私は思いました。
生半可な生きざまでは孤狼にはなれない。
ガミさんみたいに、なんもかんも無視して、己を貫いて生きれないわけです。
でも、だからこそ、ガミさんという光に私たちは惹かれるわけで、憧れるわけで。
無理だけど、でも、誰しもが一匹狼を心に飼っていたいよね。立派な狼でない小さな子犬だとしても。
ちなみに映画も観ました。プライム無料です。
結構物語のディテールを原作と変えていて(尺の都合もあるんかな?)序盤は、えー失敗じゃない?と思いましたが、後半からまた原作とは違うけれども、なかなかに厚みが出てきて、これはもう演者たちの名演の賜物に尽きるなと思いました。
石橋蓮司さんとか。間違いない。
でも私のガミさんのイメージは大地康夫さんでした。役所広司さんはちょい男前すぎ感。
あと、原作に比べて全体の作りが通俗的というか、下世話というかステレオタイプの安っぽさ感じたというか。ターゲットおじさん?だからって今どきそれ?というか。ターゲットおじさんでもこの物語は「そこ」じゃなくない?というか。MEGUMI出てくる序盤から。
私は舞台が昭和末期だからってムダにそれを押し出さない原作の方がすっきりしていて、やっぱり好きです。
あ、あと広島弁。
「こちらあみ子」も奇遇にして広島弁。
いいですね。
でも映画だと私が思っていた広島弁となんかちょい違うというか、じゃあ正しい広島弁知ってるんかと言われたら知りませんが。
「●●しんさい」が好きです。