「カラフル」森絵都
売れていた記憶。
ネタバレしないで読んだ方がいい本です。
1998年の作品なんですね。古さを感じません。
中学生の子供に読んでもらいたいな、という動機から手に取りましたが、私にとって中学生の物語は私自身の大きなテーマでもあります。
なんて言っても46年の人生でいちばん辛かった時期として認定しています。
中学生時代。
主人公は年齢不詳ですが死んじゃってるんですね。罪を犯して。で、天使からの指令により、主人公の魂は、ある自殺した中学3年の男子の身体にホームステイして蘇り、魂の浄化を目指して「生きなおし」に再挑戦することになります。
その中学3年生の男子君がまあ、なんというか、家庭でも学校でも、ついていない生活を送って。魂さんは、少しずつ彼を理解していく、っていう。
最初読み出した時は自殺した中学生の家族の話が中心で、自殺するほどそんなお母さんもお父さんも悪い人じゃなくない?中学生はそこまで繊細なのか?くらいにちょい違和感がありました。
実際は家族から何にも迷惑かけられてないのに、思う通りの姿でいてくれないことに嫌悪感を抱く。「自分が不幸なのは家族のせい」っていう思考回路がイタイ。
確かにそういう思考は我が子にもあるし、自分もそうだったんですが。でもそこは中学生の悩みの本質ではない気がして。
このイタイ感じが続くのか?と心配で、逆にページをめくる手が早まったんですが笑、そうじゃないんだなとだんだんわかってきました。
自分の子供見ていて思いますが、中学生にとって大事な部分はやっぱ「友達」なんですよ。
良くも悪くも。
特に我が子みていたら、親なんかもう笑
「カラフル」はそこ、きちんと分かっていて、中学生を読書想定しているんですね、きっと。
私が印象に残ったのは、ふたつ。
ひとつは主人公が志望校を決意するくだり。主人公が親に語る決意の言葉には、中学生の思いがいっぱい詰まっていてグッときました。
もうひとつふ、最後に天使が主人公に言う、
人生はホームステイだと思えばいい。
って部分。
私は自分の人生で中学生の時がいちばん辛かったと今でも振り返って思います。
環境が不幸とかではなくて、友達との距離感や親、先生やニュースで見る社会への不信感、何よりいろいろなことでうまく表現出来なかったり立ち回れない自分に、ものすごく嫌悪感と失望が強かったです。
いつも何かに怒っていたし、死んだ方がマシなんて考えていました。
他人の狡さや弱さを許せない人は、実は自分をいちばん許せなかったりするんだろなぁ、と常々思うんですが、それは自分がそうだったからです。
自分が好きになれないのは、苦しいことです。
今は思春期だったと納得できるんですが、当時はそれこそ人生の100%が「いま」だったから、死んだ方がマシなんて思いで毎日を過ごすって、相当な辛さだったよね。と今も思います。
中学生自分、よく頑張って生きたなあと。
二度と思春期には戻りたくないけれど、あの時の辛さや息苦しさを、ただの思春期の思い込みや成長の通過儀礼として済ますのも違うと思います。
私はずっと、あの時の、中学生の自分を救いたくて、それからを生きてきた気がします。
タイムマシンに乗って、あの時の中学生の自分に言いたいことが山盛りあります。
いろいろあるけれど、そのうち私がいちばん中学生自分に言いたいことは、
あんたはいい子やで。
生きていていいんやで。
に尽きます。
「カラフル」を読んでもうひとつ。
人生はかりそめのホームステイやで。
それくらいの距離で思った通りに生きたらいいんやで
と付け加えてもいいなと、思いました。
いま中学生の我が子にも、きちんとそれを伝えたくて、人生論を語り出しちゃいます。。まあ、いつも「はあ?ぜんぜん辛くないけど?楽しいけど」で終わるんですけどね…
中学生って🥺